今後のさらなる「ドル高円安」はあるのか? 9カ月ぶりの高値をつけた「主因は何なのか

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世界最大の機関投資家で、市場で「クジラ」とよばれるGPIFが、実際に売買を行ったかはもちろん不明。だが、少なくとも国内の大手投資家が、巨額の外債投資に動いたことはデータで裏付けられた。それ以降、ドルの下落局面では「下値にまとまった買いがある」とのうわさが幾度となく飛び交うことになる。

そして先週14日、再び市場がざわついた。2月第1週(2─8日)の対外中長期債投資が1兆6351億円と、1月第1週(5─11日)の2兆3297億円に次ぐ水準へ再び膨らんだのだ。

週間で差し引き2兆円を超える対外中長期債投資が行われるのはまれ。財務省の統計では、2005年以降で6度しかない。その直後にもかかわらず、再び巨額投資の事実が明らかになったことで「円投に動いているのはGPIFだけではないようだ」(トレーダー)などと、市場の仮説はほぼ確信に変わりつつある。

モルガン・スタンレーMUFG証券ストラテジストの杉嵜弘一氏は、GPIFは次期中期計画で、ポートフォリオに占める国内債券の比率を5%引き下げ、外国債券を5%程度増やすと予測。「昨年6⽉末時点の保有状況を基に推計すると、為替ヘッジのない外国債券の保有比率は17.6%程度。まだ5兆円程度は、外国債券を積み増す余地がある」と話している。

激しいユーロ安、ドル高の新エンジン

とはいえ、111円台へ上昇する流れを作り上げたのはドルの頑強ぶりだ。過去最高値を更新し続ける米株市場、相次ぎ景気の底堅さを示す経済指標、ギリシャですら1%を割り込む中で1.5%の高水準を維持する10年国債利回りなど、世界の資金がドルへ集中する理由は、枚挙にいとまがない。

加えて、先月末から際立ってきたのがユーロの下落圧力。対ドルで1.07ドル台とほぼ3年ぶりの安値を更新中だ。

手がかりとされるのは、最近の経済指標の下振れと、ドイツ政治の不透明感。メルケル首相の後継候補として最有力視されていた与党・キリスト教民主同盟(CDU)のクランプカレンバウアー党首が今月10日、突如退任を表明した。

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