インドネシアが新型肺炎「感染者ゼロ」の不可解

バリ島に武漢からも多くの中国人観光客

研究結果によると、「海外から入った症例の多くは、最近武漢への旅行歴がある人とつながりがあり、航空便数の多寡が中国外での症例増加のリスクを高めるうえで重要な役割を果たしている可能性があることを示唆している」。

インドネシア赤十字の会長であり、同国の前副大統領であるユスフ・カラ氏も、コロナウイルスがすでに国内に入っており、インドネシア人が症状をコロナウイルスであると認識していない可能性があると述べている。

「シンガポールは厳しいシステムで守られているが、そこにもウイルスが侵入した。感染した人がいたとしても、ここインドネシアでは、定期的な発熱にすぎない、あるいは、デング熱だと考えられている」(カラ)

地方の病院が対応できるか不安の声

カラは、主要な医療提供者である資金不足の地域医療センターが群島からなるこの国において、それぞれの島で対処を行わなくてはならなくなった場合、インドネシアがウイルスに対応する準備をどのように行うのか、懸念を示す(インドネシアは世界で4番目に人口の多い国で、6000ほどの点在する島に2億7000万人近くが居住している)。

「インドネシアには多くの島がある」とカラ。「多くの港湾都市があり、それぞれの持つ対応能力はさまざまだ。ジャカルタのいい病院はウイルス検出できると思うが、フローレスの地域医療センターはどうだろうか。スラウェシでは? 対応能力は確実に限られている」。

世界保健機関(WHO)による2018年の報告書によると、インドネシアの医療システムは、施設が不十分で、医師、看護師、助産師の少なさから、国際基準では資金不足と考えられている。

しかし、WHOの代表であるナヴァラトナサミー・パラニエタラン博士は、入国地点で乗客をスクリーニングし、疑わしいまたは感染者と診断された患者のための病院を用意するなど、インドネシアが新しいコロナウイルスに対応するために最善を尽くしていると話す。「インドネシアは、新型コロナウイルスに対するできる限りの準備と予防を行っている」(パラニエタラン博士)。

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