インドネシアが新型肺炎「感染者ゼロ」の不可解

バリ島に武漢からも多くの中国人観光客

深センから来たという一家は中国に戻らず、バリ島に延泊している(写真:Nyimas Laula for The New York Times)

中国で新型コロナウイルスが発生し始めたことを知った上海出身のある一家は先月、シンガポールで休暇を過ごしていた。

その後一家は荷物をまとめ、1人の感染者も報告されていないインドネシアに飛んだ。多くの中国人観光客の主要目的地であるバリ島に着いたのは1月30日だが、今後出国する予定はない。母親、夫、そして息子の3人と旅行中だった36歳のエヴァ・チンは「バリ島の人々はとても親切で、私たちにとてもよくしてくれる。まだ検査は受けられていない」と語る。

5000人の中国人観光客が「残った」

医療の専門家は、インドネシア当局が中国からの直行便を止めるのが遅かったにもかかわらず、国内で新型コロナウイルスの症例がまだ1件も報告されていないことについて、疑問視している。インドネシアは年間約200万人の中国人観光客を受け入れており、そのほとんどがバリ島を訪れる。バリ島の中国総領事は先週、ウイルスの発生が始まった武漢からの200人を含む、約5000人の中国人観光客がバリ島に残ったと報告した。

インドネシアの近隣国であるフィリピン、シンガポール、マレーシアとオーストラリアはすべて、感染者の報告をしている。

「これまでのところ、インドネシアはコロナ感染者の報告のないアジアで唯一の主要国だ」と、インドネシアのモハマド・マフフッドMD防衛大臣は14日に記者団に伝えた。「コロナウイルスはインドネシアには存在しない」。武漢から避難し、現在インドネシアのナトゥナ島で検疫されている285人は、誰もウイルスの兆候を示していない、とつけ加えた。

ハーバード大学公衆衛生学部の研究者5名は先週の研究で、症例を1件しか報告していないインドネシアとカンボジアは、可能性のある症例のモニタリングを迅速に強化すべきだと結論づけた。統計分析に基づき、コロナウイルスはすでにインドネシアに到達した可能性がある、と見ている。

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