「児童虐待防止政策」には致命的な問題がある 虐待死を防げない根本的な理由は何なのか
国連の子どもの権利委員会は条約締結国に勧告を出しますが、日本も昨年受けています 。その勧告には次のような一文があります(日弁連の日本語訳「子どもの権利条約 NGO レポート連絡会議」より)。
日本は、一時保護、措置、再統合まで行政機関(児童相談所)で判断してします。司法が関与するのは、一時保護が2カ月以上保護される場合でありますが、それについても以下の部分は委員会より懸念されています。
この法の不備が、現場を、当事者を苦しめるということが大きな問題です。
およそ民主主義、法治国家、先進国といわれる国で、親子を分離するときに司法が介入しない国はわが国を除いてありません。また虐待の通報を受け付け、介入し、保護、分離、措置、再統合を1つの機関が行う国もありません。
親子分離を行政機関が行っている矛盾
他国でも虐待やDVなどは福祉行政機関(または委託された民間機関など)が保護することが多いです。さらに、わが国にも「調査保護」という制度があり、緊急介入やその判断がつかない場合であっても、最悪の事態になるリスクと比較して子どもの安全を第一に保護するということになっています。
それは子どもの視点を第一に行動する条約締結国世界共通の認識です。しかし福祉行政機関が保護した場合、司法機関ではないので必ず制限があります。つまり保護(つまり親子を分離するという行為)には、その制限がありおおよそ72時間のところが多いです。
日本は、保護・措置に関して、司法が介入しないことが問題です。子どもと親を分離することについて、児童相談所はさまざまなツールや情報をもとに判断します。しかし、判断したとしても、親子分離を決定するというのはそもそも児童相談所でやるべき行為ではないのです。
この本来司法がやるべき行為を、行政機関が行っている矛盾、そしてその本来必要のない業務を児童相談所が行うという業務量の増加が、現場を苦しめ、子どものケアや親支援がおざなりになるのです。海外からも大きな批判を浴びているのが現状です。
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