活発な議論の会議がロクな結論にならない理由 人の顔が気になり「金言」が埋もれる結果に
この「沈黙」という手法は、ミーティングのほかの場面でも活用することができます。それは「黙読」です。意外に思われるかもしれませんが、ただ黙って何かを読むことが、ミーティングの生産性を上げることがあります。
ミーティングでアイデアを提案するときは、まずプレゼンを行い、その後で出席者が話し合うという形も多いかと思います。しかし、アマゾンは――より具体的にはCEOのジェフ・ベゾスは、このやり方に疑問を持ちました。
プレゼンという形式では、どうしてもプレゼンを行う人の「見た目」や「話のうまさ」、「パワーポイント資料のできのよさ」などに目を奪われ、中身そのものを正しく評価できなくなります。
それに加えて、ミーティングにおけるまわりのプレッシャーもあります。空気を読んで、まわりの意見に合わせることは、生産性につながりません。そこでアマゾンが取り入れたのが、「ただ黙って資料を読む」というスタイルです。アマゾンでは、何か提案があったら「黙読用の資料」にまとめるのが当たり前になっていて、ミーティングではまず出席者が黙って資料を読み込みます。資料はどんなに長くても、6ページまでです。
一見、オールドスタイルのようだが
出席者は、事前に資料を読む必要はありません。読むこともミーティングの一部です。ベゾスをはじめアマゾンの幹部は皆忙しく、ミーティングの準備に時間をとれないことをよく知っています。そこで、資料を読むこともミーティングの一部にすれば、出席者の全員が同じ体験を共有することができます。
そして何より重要なのは、すべての人が資料をきちんと読んだ状態で話し合いを始められることです。こうすれば、ミーティングの準備をしない人への批判や不満も解消できるでしょう。
また、人は話を聞くより読むほうが早いという利点もあります。たとえ同じ時間でも、誰かが話すのを聞くより、文字を読んだほうが多くの情報を取り入れられるのです。そのため、黙読の資料は、プレゼンよりも多くの情報を含むことができます。
加えて、人は聞くよりも読むほうが、その対象に対する理解を自分でコントロールできます。わからなければ読み返せばいいからです。人の話をただ聞いているときは、注意力が散漫になったり、ほかのことを考えたりしてしまいます。
つまり、黙って紙に意見を書いたり、資料を読むという行為は、より多くの情報を取り入れ、そしてより効果的にアウトプットできるということです。そのおかげで、後に続く話し合いも、そして結論もより有意義なものになるでしょう。
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