では、なぜ買いすぎてしまうかと言えば、「節約したい」と考えているから。笑い話のようだが、さにあらず。
節約のために人はなるべく安い食品を買おうと考える。その日の特売品や値下げ商品といった「安く買える」ものを手当たり次第にカートに入れる。今日のメニューを作るのに必要かと考えるわけではなく、「安いから」という理由でどんどんカートに入れていくと、レジで合計金額を聞いた瞬間、想定以上に膨らんだ額にあぜんとするのだ。
次の買い物でも同じことが繰り返されるだろう。節約のために「安いから」買ったもので冷蔵庫があふれ、奥にしまい込んだまま朽ちていくことになる。
安いものを買って節約につなげるのは間違ってはいない。ただし、「安いし、いつか使うかも」となんとなくカートに入れるのが問題だ。これを防ぐには、モノではなく金額の縛りで買うようにするといい。多くの家庭では月の食費予算を決めているものだ。まずそれを日割り計算し、3日分買うなら×3、5日分なら×5の数字が財布に入れていい金額となる。
今日はこの金額以上は買えないと意識すれば、なんとなく買っておこうかという緊急度のないものは買わずに済む。必ず必要なメインの肉や魚を買ったうえで、後はその残りの金額内で安いものを探せばすっきりする。
安いものから買わないほうがいいのは、まだ頭の準備ができていないからだ。買い物に行く際に最初からがっちり何を作るか決めている人はそう多くない。当日の安い食材を買って、それを使って作れるものを今日のメニューにしようと考える。つまり、買い物を続けるうちに徐々にメニューのイメージが固まってくるので後半の買い物は無駄がないのだが、最初にカートに入れたものは必ずしもそうではない。「なくてもいいもの」がカートに残ったままレジに向かうと、ぎょっとする金額になってしまうわけだ。
それを防ぐためにも、レジに並ぶ前に再度、買う必要のないものが入ったままになっていないかチェックするのが大切だ。見つかったらおっくうがらずに売り場の棚に戻しに行こう。運動不足解消のウォーキング代わりと考えれば前向きになれる。
「割安買い」は節約のトラップ
安いからではなく、金額の縛りで買い物をすると、“割安買いトラップ”からも逃れられる。割安買いとは、業務用と言われる大量パックや、3品セット買いで割引になるという、おなじみのもの。確かにグラム当たり、1個当たりでは割安だ。しかし、その大量の食材は、わが家の何食分に当たるのか深く考えずに買っている人が多いのではないか。
家に大量のストックがあると、つい気が緩むものだ。しかも大量パックは冷蔵庫や収納庫を塞いでしまうため、できれば早く使い切ろうとする。結果、本来必要な量よりも多めに使いがちになってしまう。これでは割安で買っても食費節約になっているか疑わしいだろう。
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