冷蔵庫を見ればわかる「お金が貯まる家」の特徴 貯まらない人が陥る「食費節約」の勘違い

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また、セット売りは割引をエサに、買う気がなかった商品をプラス1~2品買わせる手法にほかならない。むろん、予定していた以上に金額も膨らむ。トクしたのは消費者ではなく店側だ。

確かに、かつては大量の食材を割安で買い、1回分ごとに小分けして、きちんと下ごしらえをして――という節約テクがもてはやされたが、それは昭和の手間をかけるのが美徳の節約法。たとえ割高になっても1回あたりの食費予算の中で納める買い方をすれば、食費が赤字になることはないはずだ。

貯まる家は冷蔵庫でわかる

適量買いが望ましい理由は、買った食材の使い忘れ防止にもつながるからだ。「買い物」「在庫管理」「使い切り」の食費節約トライアングルのうち、「在庫管理」がラクになる。

まとめ買いした食材でぎっしりの”魔窟冷蔵庫”では、一見して何がどのくらいあるかわからない。ないと思って買った食材が実はあった、奥のほうにいつ買ったか覚えていない「何か」が干からびていた――という悲劇が日々繰り返される。いくら安く買っても、使い忘れのせいで捨ててしまえばその代金も捨てたことになる。

着実に貯蓄できる人の家は総じてモノが少ないものだ。それは冷蔵庫も例外ではない。何がどこにあるかわかりやすく整理されてもいる。そのための「ゾーニング」は食費節約には欠かせない。ゾーニングとは冷蔵庫の中を位置決めすること。冷蔵室の棚ごとに、そこに入れるものや役割を決めるわけだ。

いちばん目につく棚は、消費期限が短い豆腐や納豆など、あるいは作り置きしたおかずなどを入れる棚にすれば食べ忘れが防げる。逆にみそや梅干しなど長持ちするものは上の棚でもいいだろう。目につきにくいいちばん上段は何を入れても取り出しにくいので、筆者はあえてそこにビールを横にして入れている。だからと言って減酒には役立ってはいないが……。

野菜室も、長持ちしない葉物は手前にまとめ、奥は根菜類というようにするか、緑のものは右、白いものは左――というように色別で分けてもいい。どこに何を入れるかのマイルールを決めることで、買ったものをしまう手間や在庫管理も楽になる。結果、二重買いや廃棄も減らせるだろう。

後は食材を使い切るための調理法だが、筆者が多用するのはカレー味とケチャップ味。この2つに共通なのは、大人も子どもも好きな味ということだ。すでにベースの味が決まっているので手間がかからないのもメリットだ。

今の季節なら、特売のカレールウを使ったカレー鍋が万能といっていい。モヤシや白菜など、カレーライスには絶対入らない野菜でも、この鍋にすると不思議とまとまる。肉が足りないときはちくわや油揚げなどの安い食品を加えるとボリュームが出せる。締めはカレーおじやにすればいいし、冷蔵庫の掃除メニューとして最強だと思う。

ケチャップは炒め物に使うのがお勧めだ。ウインナーソーセージやひき肉があれば、それと残り野菜を炒めると、なんちゃってナポリタン風になる。隠し味にソースあるいはしょうゆを加え、大人用にはコショウを効かせるといいだろう。

昨年2019年10月1日に「食品ロスの削減の推進に関する法律」(食品ロス削減推進法)が施行された。食品ロスの発生元は、その約半分が一般家庭だと言われている。法律の要綱にも「消費者は(中略)、食品の購入又は調理の方法を改善すること等により食品ロスの削減について自主的に取り組むよう努めるものとすること」とある。

この「食品の購入と調理の改善」とは、これまで述べてきた食費節約のポイントそのものだ。買いすぎない、使い忘れを防ぐ在庫管理をする、そしてムダにせず食べきる。食費を節約したいという人はこのトライアングルをぜひ意識してほしい。

松崎 のり子 消費経済ジャーナリスト

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まつざき のりこ / Noriko Matsuzaki

20年以上にわたり『レタスクラブ』『レタスクラブお金の本』『マネープラス』などのマネー記事を取材・編集。家電は買ったことがなく(すべて誕生日にプレゼントしてもらう)、食卓はつねに白いものメイン(モヤシ、ちくわなど)。「貯めるのが好きなわけではない、使うのが嫌いなだけ」というモットーも手伝い、5年間で1000万円の貯蓄をラクラク達成。「節約愛好家 激★やす子」のペンネームで節約アイデアも研究・紹介している。著書に『お金の常識が変わる 貯まる技術』(総合法令出版)、『「3足1000円」の靴下を買う人は一生お金が貯まらない』(講談社)、『定年後でもちゃっかり増えるお金術』(講談社)。
【消費経済リサーチルーム】

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