「アルツハイマー病検査」の進化で浮上する問題 自分が「将来記憶を失う」ことを知りたいか
少し前まではアルツハイマー病を患っているかを知る唯一の方法は、検死解剖で脳を調べることだった。それが急速に変化している。脳スキャンと脊椎穿刺により、アルツハイマー病の原因とされるタンパク質「アミロイドベータ」を検出できるのだ。
アミロイドベータを検出する血液検査も誕生しつつある。また、スキャンによってアルツハイマー病につながる別のタンパク質「タウ」を発見する研究も進んでいる。
自分がアルツハイマー病になるのを知りたいか
こうした診断検査が普及するにつれ、記憶が失われていくことを恐れる多くの人たちは、難しい問題に直面するだろう。自分がアルツハイマー病になるのかを本当に知りたいのか、ということだ。「この新しい時代に私たちは窮地に立たされている」とカリフォルニア大学サンフランシスコ校の神経科医ギル・ラビノビッチは言う。
検査結果が陽性であれば、身の回りを整理し、将来の計画を立てるのに役立つ。製薬会社バイオジェンは、早期に投薬を開始した場合にアルツハイマー病の症状悪化を抑制するとされる初の治療薬を開発したという。
アルツハイマー病の治療に医療保険の適用を除外することは、少なくとも現在は法律で禁止されている。しかし、長期介護保険や生命保険は別だ。
アルツハイマー病になっても友達は付き合ってくれるだろうか? 配偶者はどうか? 自分が最終的に家族を認識することもできなくなり、もしくは話すことさえできなくなると知りながら生きていくのはどういうものだろう?
診断検査を受けた人の中には、これらの質問があまりに現実的な人もいる。