ブックオフと赤いきつね「CM」刷新と不変の値打 どちらにも「なるほど」と膝を打つ戦略が隠れる

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「今年で30周年を迎えるブックオフブランドに対して、消費者が、安定感・信頼感を持っている一方で、“古くさい・チャレンジしているイメージを抱いていない”と思われているという課題もありました。ブックオフ店舗の取扱商材が変わっていることを伝える手段として、視聴者に強く印象づける企画と、表現する最適なキャストとして寺田心さんを起用しました」

そう語るのは、ブックオフコーポレーションのマーケティング部長、千田竜也さん。背景に、イメージを変えるという強い意志があったことを明かす。元々は清水國明さんがCMキャラを務めていたが、その後は「よむよむ君ファミリー」が同社のイメージキャラクターを担っていた。

「新しいブランドイメージを醸成するうえで、今まで持っていたいいイメージが失われるリスクもあります。しかし、ブランドが継続的に成長するためには、必ず新しいお客様を増やさないといけません。チャレンジ自体に不安は無かったです」(千田さん)

ブックオフの実際の店舗は、10年以上前から取扱商品カテゴリーを増やしていたものの、その認知度は決して高いとは言えなかった。人々の頭の中に残り続けていた“CMキャラクター=清水國明さん”というイメージも、「10年以上起用していなくて、その間は自社のキャラクターであるよむよむ君ファミリーを中心にプロモーション展開しておりました。しかし、実際には視聴者の方のイメージは、『本を売るならブックオフ』『清水國明さん』のままだった」と吐露する。

止まっていた時計の針を押し進めた

確かに、申し訳ないくらいよむよむ君ファミリーのイメージは、ない。今回、寺田心さんを起用したまったくテイストの異なるCMを打ち出したことで、止まっていた時計の針を修復するどころか、押し進めるほどの効果があったことは、ACCグランプリ受賞という観点から見ても疑いようがないだろう。

過去をひもとけば、 清水國明さんから寺田心さんのように、イメージが上書きされるようなCMは少なくない。サッポロ黒ラベルのCMは、1990年代半ば、とんねるずを起用し話題を集めていたのだが、2000年頃になると、豊川悦司さん&山崎努さんというダンディーなCMキャラクターに様変わりした。

ギャツビー(GATSBY)のCMでは、吉田栄作さん&森脇健児さんのコミカルなCMが1990年代半ばを席巻したにもかかわらず、1996年以降は本木雅弘さん、木村拓哉さんというようにセクシーなイケメン路線へとシフトチェンジしている。

だが、いまだに吉田栄作さん&森脇健児さんの「ギャツビーつけて、カッコつけて~♪」 のメロディが思い浮かぶ人もいるわけで、過去を上書きできないケースもある。裏を返せば、ハマったときのCMとCMキャラクターの放つイメージは、こびりついてしまうくらい鮮烈と言える。

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