自由恋愛が生んだ「恋愛格差」拡大という残酷さ 「現在恋人がいる率」になぜか出る男女の差

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 既婚者同士で浮気をしている場合も考えられますが、30代以上の年収のある既婚男性が、独身を装って婚活にいそしむ20代未婚女性を欺いている可能性は否定できません。

そんな相手に時間と感情の無駄遣いをさせられる婚活女性もたまったものではありませんが、割を食うのは、彼女たちだけではありません。そうした恋愛強者たちの陰で、結果的に生涯誰にも選ばれることのない恋愛弱者の未婚男性が取り残されてしまいます。まさに、恋愛強者によるWinner-take-all(勝者総取り)です。

ネット婚活で結婚する人も増えている

かつて、結婚のきっかけはお見合いと職場が大多数でした。これらはある意味、社会的な結婚お膳立てシステムといえるものです。だからこそ、明治末期から1980年代まで日本はほぼ全員が結婚する皆婚社会を実現してきたのです。しかし、今やその2つとも減少傾向にあり、総婚姻数の減少はこれらお見合いと職場結婚の減少数と一致します(『100年前の日本人が「全員結婚」できた理由』)。

結婚を支えてきた大きな二本柱の代わりとして、婚活・恋活アプリなどのネット婚活サービスに関心が高まっています。

事実、リクルートマーケティングパートナーズが運営するブライダル総研の「婚活実態調査2019」によれば、婚活アプリなど「ネット婚活サービスを利用し、そのサービスで結婚できた」という割合は、2000年のわずか0.1%から2018年は7.4%まで伸長しています。

確かに「出会いがない」という課題を抱えている未婚男女にとっては、こうしたサービスはひとつの光明でしょう。しかし、「出会いがあればその先なんとかなる」というのはそもそも能動的に動ける恋愛強者の論理であることも確かなのです。

お見合いや職場婚は、「選ぶ自由は制限」されていましたが、その代わり「選ばれないという不安」はありませんでした。だからこそ7割を占める受け身の恋愛弱者のマッチングを実現したと言えます。とはいえ、今さら伝統的なお見合い婚や職場婚が復活することもありえないでしょう。

結婚が滅亡する。決してそれは大袈裟な話ではないのかもしれません。結婚する・しないという各個人の意思の問題以前に、もうすでに、構造的に男女のマッチング不全を起こしていると言えないでしょうか。

荒川 和久 独身研究家、コラムニスト

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あらかわ かずひさ / Kazuhisa Arakawa

ソロ社会および独身男女の行動や消費を研究する独身生活者研究の第一人者として、テレビ・ラジオ・新聞・雑誌・Webメディアなどに多数出演。著書に『「居場所がない」人たち』(小学館新書)、『知らないとヤバい ソロ社会マーケティングの本質』(ぱる出版)、『「一人で生きる」が当たり前になる社会』(ディスカヴァー携書)(ディスカヴァー携書)、『結婚滅亡』(あさ出版)、『ソロエコノミーの襲来』(ワニブックスPLUS新書)、『超ソロ社会』(PHP新書)、がある。

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