ひきこもりの「社会復帰を妨げる」日本の危うさ

安易な「自己責任論」で済ませてはいけない

終身雇用制の終焉によって、定年まで働きつづけられるという雇用環境が失われただけではなく、同時に、非正規社員の激増という、新たな雇用形態がもたらされました。

契約社員や派遣社員など期間を定めた契約形態で働く人たちと、パートやアルバイトなどの短い期間で働く人たちを、正社員に対して非正規社員と言います。非正規社員なら、企業側の都合で辞めさせることも容易ですし、なによりも、賃金を正社員よりも低く抑えられることが企業としてのメリットでしょう。

では、非正規という雇用形態がどのような過程で生まれたのか、また、暮らし向きにおいて正規社員の人たちとはどの程度の差があるのかなど、その実態を見ておきましょう。

同じように働いても収入は半分

日本が長期不況に突入したのと同じ年、1996年に政府は「労働者派遣法」を改正するなどして、企業が契約社員や派遣社員などの非正規社員の雇用を可能とする道筋をつけました。さらに、第二次安倍政権が誕生後のアベノミクスでは雇用の拡大を推し進めましたが、ここで増えたのが非正規社員です。アベノミクスで雇用は増えたものの、その内実は、非正規社員の増加であり、それに対して、正社員の割合は減っているのです。

1996年以降、アベノミクスも含めて今日に至るまで、非正規社員の占める割合は年々拡大していきました。2018年、総務省の「労働力調査」によると、正規職員・従業員が3485万人に対して、非正規職員・従業員が2120万人でした。非正規で働く人が全体(6664万人)の約3割を占めます。

しかも、収入の格差は歴然としています。内閣府の「正社員・非正社員の賃金差の現状」によると2016年時点で、正規社員の平均時給は非正規社員の1.5倍、年収ベースでは1.8倍です。

同じように働いても非正規というだけで、正社員の約半分ほどの収入しか手にできないわけです。しかも、正社員では多くの場合、年齢とともに賃金が上がっていくのに対して、非正規ではほとんどが上がりません。

このような不公平がまかりとおっている格差社会の日本で広がっているのは、正真正銘の貧困問題です。ある調査では、この国に暮らす全体の57.7%の人が「生活が苦しい」と答えていますし、さらに、子どもの7人に1人が貧困、単身女性の3人に1人が貧困に陥っています。

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