新型肺炎「日本経済」はどんな悪影響を受けるか

消費や生産を停滞させ金融市場混乱の可能性も

こうしてみると、最近は数10年に1度の割合で感染症リスクが人類を襲っていることがわかる。数世紀も前のペスト、天然痘、コレラといったパンデミックは防ぐことができなかったものの、スペインかぜのような「戦争中」という特殊要因さえなければ、人類は感染症をうまく封じ込める知識と技術を身に付けつつあると考えてもいいだろう。

問題なのは、アフリカなど医療施設がきちんと整っていないところに感染が拡大した場合だ。それが世界中に波及してパンデミックになる可能性は否定できない。

もっとも、感染症拡大の恐怖は生命の危機とか健康を損なうといった医学的な問題だけではない。例えば、今回の新型肺炎の蔓延では中国経済の大きなダメージが予想され、全世界に与える影響は限りなく大きい。

簡単に言えば、新型肺炎は一過性のものかもしれないが、経済に与える影響はより深刻なものになる可能性があるということだ。とりわけ、SARSの時代の中国の実質 GDP は1.7兆ドル(2003年、約185.3兆円)、世界全体の実質GDPの4.4%しかなかった。それが世界第2位の経済大国になった現在、実質GDPは14.3兆ドル(2019年)、世界全体のシェアも16.3%(同)に成長している。

とりわけ、武漢市のある中国湖北省には、世界の自動車産業の多くが工場などの拠点を置いている。中国国有自動車メーカーの「東風汽車」をはじめとして、フランスの「PSAグループ」、アメリカの「ゼネラル・モーターズ(GM)」、日本の「ホンダ」などなど。自動車産業ではないが「ダイキン工業」なども武漢に工場を持っている。

格付け会社のムーディーズ・アナリティックスは、今回の感染拡大が金融危機をもたらす「ブラックスワン(想定外の事態)」になりうる可能性を警告している。今回の新型肺炎の感染拡大によるリスクは、これまであまり人類が経験したことのないパニックになる可能性もある。

金融市場のバブル崩壊の引き金となるか?

そもそも感染拡大がもたらす経済の影響にはどんなものがあるのだろうか。簡単にまとめてみると次のような要因に集約されると考えていい。

① 消費の低迷による景気後退

感染症の蔓延は、人々の行動を狭め、消費活動にブレーキをかける。今回の新型肺炎でも春節の観光旅行が大きなダメージを受けた。過去の感染症を振り返ると、収束するのに半年から1年程度の期間を覚悟する必要があり、消費に対して大きな影響をもたらすことになるはずだ。

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