断罪された新興企業、有力企業との見えない壁
法のすき間を突いて時価総額を拡大させ、企業買収を繰り返したライブドアのやり方は、堀江被告の挑発的な言動もあって、経済界だけではなく社会からの反感も買った。そして起訴され、厳しい判決が下った。
インサイダー取引事件で逮捕・起訴され、懲役2年執行猶予3年の判決を受け刑が確定した村上世彰・元村上ファンド代表もほぼ同じだ。
ホリエ流便宜主義を拒否 ベンチャー経営者は萎縮
ライブドア事件が起きたとき、仏リベラシオン紙は、「(企業経営者や政治家は)ホリエの米国流で無礼な便宜主義を拒否した」と論評したが、日本でもこうした見方は決して少なくない。
旧世代に対抗する新興勢力を徹底的にねじ伏せる一方で、既存の権力を守る。金融、司法当局がやってきたことは結果として、そう言えないか。「出る杭は打つ」のだとしたら、日本は、既存の権力を打破する新しい息吹や波が、生まれない社会になっていくのかもしれない。エスタブリッシュメントによって恣意的にルールが運用されるようになると、結果としてルールへの信頼が損なわれ、ルールが無効になっていく。
「誰もが認めるような社会的な肩書を持たないと、新興勢力は組織的に潰されてしまうのではと、ベンチャー経営者はおじけづいている」と前出の保田氏は指摘する。
見えない大企業の壁--。実はそうしたものはないのかもしれないが、そう見えてしまうこと自体が、社会の活力をそぐことになる。
(週刊東洋経済)
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