断罪された新興企業、有力企業との見えない壁

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 組織ぐるみの企業不祥事は、粉飾決算に限らない。独占禁止法に違反する談合や価格カルテルもそうだ。談合・価格カルテルにかかわったとして、公正取引委員会が行政処分を下す企業には、日本を代表する大企業やグループ会社が関与している。 

ペナルティ軽い独禁法違反 経団連も重い処分下さず

今年10月、テレビ用ブラウン管の値崩れを防ぐために、国際的な価格カルテルを結んだ疑いで、パナソニックの関係会社などに、公取委から課徴金納付命令が出されたばかりだ。談合・価格カルテルは、複数の企業が共謀して、本来なら公正に競う価格を不当に吊り上げる行為。はっきりとした被害者がいるわけではないが、欧米では社会全体に害悪を及ぼすとして厳罰化が進んでいる。

談合や価格カルテルがなくならない理由の一つは、刑罰や行政処分の軽さにある。たとえば課徴金は、違反の対象となった事業の年間売上高の10%が科されるが、「カルテルで得られる儲けは、平均すれば年間売り上げの16%程度に相当する」(公取委幹部)という。露見して課徴金を払っても利益が手元に残る。処分の抑止力には疑問符が付く。個人への責任追及は、起訴されたとして懲役刑は執行猶予が付く3年以下で、実刑判決に至ったケースはない。

来年1月の改正独占禁止法の施行後は、同懲役刑は5年以下に延びる。今後、談合や価格カルテルで、個人に実刑判決が下される可能性は出てきたものの、個人に実刑が下される米国などに比べ、日本における独禁法違反のペナルティは軽かった。

日本の有力企業が加盟する日本経済団体連合会(経団連)は、不祥事を起こした企業に、一定期間の活動自粛を求めている。最も重いのが、無期限活動自粛。ライブドアは、現在も無期限の活動自粛中だ。ライブドア以外で対象となっているのは、尼崎線で大事故を起こしたJR西日本など2社だけだ。

一方で、価格カルテルや安全にかかわるような製造データの改ざん、税金の不正受給をしていても、経団連から重い処分は下っていない。結局、大企業が不祥事を起こしても、ペナルティは総じて軽めである。

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