小学6年までに「英検準2級」を取るべき深いワケ 幼児期の英語が身に付くかどうかの分かれ道

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幼児期にスタートすれば、3級の壁などは存在しません。その代わりに3級と準2級の間に1つの壁があります。そして準2級をクリアすると2級は問題なくクリアできますが、準1級が次の大きな壁となります。そしてその先に、少々手ごわい1級の壁があります。

準2級では文章量と語彙数がかなり増える

準2級以上が3級までと異なる点は大きく2つあります。1つ目は文章量が多くなること。長文が4つのセクションに増え、さらにテキスト量がかなり多くなります。

受験者に対する合格率も3級以下では6割から8割あるところが、準2級からは3割台へぐっと下がるのも特徴で、おそらくは読解力の低さから、テキスト量の増加に伴い時間的余裕がなくなり、合格へ至らないのでしょう。もう1つの点は、語彙やイディオムが相当増えることです。受験者にとってはなじみの薄い表現や語が次々と出てくるので、面食らってしまうのでしょう。そこで世間一般的に準2級では単語やイディオムの丸暗記が推奨されたりするわけです。

しかし、いったん頭の中で日本語に訳さない「直接法」で英語を身に付けてしまえば、英単語を日本語の訳ではなく、イメージで身に付けるので、1つひとつのイディオムに振り回されることはありません。

準2級は直接法で「生活言語」レベルの英語を身に付けてしまえば、あとは読解力を育てていく過程で自然と合格できるレベルです。

もちろん、英検を利用するのは、あくまでも「英語をしっかり身に付けるため」ですが、小学生のうちに準2級を取得すれば、中学受験にも有利ですし、準2級をクリアしていれば、「生活言語」レベル、つまりほとんどの日本人がクリアできない英語の壁をクリアしていることになるので、そこから先の英語学習はスムーズに進みます。

小学生向けの英検のゴールをとりあえず準2級にしていますが、英語学習に最終ゴールはありませんので、もちろんその先を狙ってもいいでしょう。

早期の英語学習のスタートで自然に身に付くリスニング力、その後の読解力育成で身に付く直感的な長文理解などをもってすれば、語彙はそこそこ、文法もほどほどでも、英検準1級合格には限りなく近づきます。

1級ともなると、これは親がどうこうできるものではなく、子ども本人が意識的に多読するなどの学習をする必要があります。ただ、準1級まで持っている子であれば、1級には「やる気次第」で手が届くことだけは付け加えておきましょう。

『10万組の親子が学んだ 子どもの英語「超効率」勉強法』(書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします)

年齢ごとに最適な、「直接法」で英語を身に付ける学習法は、私が開発した音声を入り口にした英語インプット教材もありますし、近著『10万組の親子が学んだ 子どもの英語「超効率」勉強法』にもまとめていますので、ご参考になればと思います。

もちろん、学習法を確立されているご家庭もあるでしょうから、お子さんに最適な学習法で勉強されてください。

幼少期から英語学習しているお子さんや、帰国子女のお子さんは、その英語力を消してしまわないため、ぜひ、「英検」という資格試験を活用しましょう。

船津 洋 児童英語研究所代表取締役所長

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ふなつ ひろし / Hiroshi Funatsu

1965年生まれ。東京都出身。上智大学外国語学部英語学科卒業(言語学専攻)。高校時代に米国に留学し4カ月で英語をマスター。カンザス州の大学などでも学ぶ。帰国後、右脳教育の第一人者・七田眞氏に師事し、同氏が設立した児童英語研究所に入社。以来30年以上にわたり、幼児教室や通信教育などの教務を通じて子どもの英語教育と発達研究に携わる。1999年には同社の代表取締役所長に就任。累計で10万組以上の親子に対して、バイリンガルに育てるための指導を行っている。最新刊は『10万組の親子が学んだ 子どもの英語「超効率」勉強法』(かんき出版)。

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