「ロッキー/ライズ」実際に乗ってわかった実力 使い勝手は高いが「煮詰め不足」が気になる

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エンジンは現状、このクラスでもミニマムといえる1.0リッター3気筒のガソリンターボのみの設定とされた。

むろん、3気筒特有の音や振動などドライブフィールの質感はそれなりではあるものの、1トン少々の車体を走らせるには、十分な動力性能を持つ。

1.0リッターターボエンジンは最高出力72kW(98PS)、最大トルクは140N・m(14.3kg・m)を発生(筆者撮影)

ただし、パワフルであることを強調するような特性で、飛び出し感が強い点が少々気になる。

海外ではこのクラスのコンパクトSUVに4WDを用意していない車種も少なくないのに対し、ロッキー/ライズには、小さくてもSUVであるとのこだわりから、電子制御カップリングを用いた高性能な4WDシステムが与えられている。

足まわりについても、いろいろ新しいチャレンジをしているようだが、現状では操縦安定性や乗り心地の快適性に煮詰めの足りない印象が残る。DNGA第1弾のタントがまずまずの仕上がりだったこともあり、第2弾であるロッキー/ライズにももう少し上を期待していたのだが、粗削りな感があるのは否めない。

2020年のSUV王者になれるか?

全体的にもう少し洗練されることに期待したい気持ちもあるが、このクルマが売れるのはよくわかる。とっつきやすく、現状はガチンコのライバル車も存在しない。これを「待ってました!」という人も少なくないことと思う。

SUVの2019年暦年の販売台数では、「C-HR」を僅差でしのぎ「ヴェゼル」が王座を3年ぶりに奪還した。

2020年は、もちろんロッキー/ライズの姉妹車もしばらく勢いを保ちそうだが、前年の発売から快進撃を続けている「RAV4」や、あるいはそう遠くないうちに出てくると目される新型「ハリアー」がどのような動きを見せるかも興味深いところだ。

岡本 幸一郎 モータージャーナリスト

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おかもと こういちろう / Koichiro Okamoto

1968年、富山県生まれ。大学卒業後、自動車情報ビデオマガジンの制作、自動車専門誌の編集記者を経て、フリーランスのモータージャーナリストとして独立。軽自動車から高級輸入車まで、国内外のカテゴリーを問わず幅広く市販車の最新事情を網羅するとともに、これまでプライベートでも25台の愛車を乗り継いできた経験を活かし、ユーザー目線に立った視点をモットーに有益な情報を発信することを身上としている。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員、日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

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