飲食店「無断キャンセル」店側が激怒する4事例

偽計業務妨害の疑いで逮捕された人も

「元従業員、元お客さん、クレーマーのような客、店員とトラブルになった客など、背景はあると思います。じゃないと系列店ばかりを狙った嫌がらせはしない」

と前出・石崎弁護士が指摘する事件が、昨年11月に東京・警視庁丸の内署に偽計業務妨害の疑いで逮捕された59歳(当時)の男のケースだ。有楽町の居酒屋に17人分の予約をし無断キャンセルしたのが6月28日。同じ日に、系列店4店舗にも、同じ偽名、同じ電話番号で8~20人分の予約があったが、すべて無断キャンセルされた。

温泉旅館のケースは【うっかり・適当型】

4つ目のカテゴリーは【うっかり・適当型】。今回の栃木の温泉旅館のケースもこれにあたるとみられる。

前出・石崎弁護士は、

うっかり忘れていた場合は、請求するとすぐに料金を払いますが、適当型は最もひどい。しらばっくれて無視します

とその厄介さに手を焼いたことが脳裏をかすめるという。

20代の女性Aさんから、2017年4月28日に予約が入った。5月4日に40人の宴会をしたい、と。結果は、無断キャンセル。被害に遭った東京・歌舞伎町の飲食店は、

お金がかかっても、このままだったらダメだ、裁判をやらないと、と思ったんです。繁忙期に予約を無断キャンセルされると非常に困ります

と相手を訴えた。担当したのは前出・石崎弁護士だ。

「訴状を受け取っているにもかかわらず裁判には来ない。その前に内容証明を、本人にも、実家にも送りましたが無視。裁判を起こしても無視。普通、裁判を起こされたら、会社や家族にも知られて嫌じゃないですか。守るものがあると社会のルールで生きようとするんですが、20代で守るものがないと、こうなります」

裁判所は原告の訴えどおり13万9200円の損害賠償を認める判決を出したが、これをお金にかえるためには被告の預金口座を割り出さなければならず、さらに手間、時間、金がかかる……。

「飲食店の無断キャンセルは数万円の世界。裁判となると最低でも10万円はかかります。そこで私は無断キャンセルの請求サービスを始めました。初期費用を取るとなると、損をしたうえにさらにお金がかかると店側が萎縮してしまうので3割の成功報酬型でやってます」(前出・石崎弁護士)

前出・望月さんはグルメサイト側の問題をこう指摘する。

「簡単に予約ができますが、キャンセルに対しての対策が進んでいなかった」

前出・石崎弁護士も、

「キャンセルの電話に出ない、対応してくれない、そっちが悪いだろう、と言われることもあります。予約のしやすさ、キャンセルのしにくさのミスマッチもあるようです」

それでも泣き寝入りすることなく、弁護士や裁判を通して請求し続ければ、

お客さん側も、無断キャンセルは請求されるんだ、これはまずいことだと少しずつ認識していくと思います

と、石崎弁護士は期待する。

冒頭の温泉旅館には後日、被害の原因を作ったという男女3人が謝罪に来たという。彼らの言い分は、元従業員に予約を頼んだ→キャンセルを指示した→その元従業員とは昨年から連絡がとれない……。

次ページ集団訴訟を検討する被害旅館側
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