【検証】四季報予想はどれだけ当たったか 『会社四季報』2014年春号が発売

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 ついに3月14日に『会社四季報』春号が発売になった。上場企業約3800社では、四半期決算の順調な進捗を受け、業績見通しの上方修正のケースも目立つ。さて、今回は四季報春号が発売になったこともあり、前号(新春号、2014年1集)の独自予想がどの程度当たっていたかを検証してみたい。

まだまだ上振れ余地!? 上方修正銘柄にチャンス

多くの企業は業績見通しを開示している。だが、一つ一つの企業をよく見ると、その見通しは、強気過ぎたり、保守的だったり、まちまちだ。四季報記者は上場している約3800社全社に裏付け取材をすることで独自に判断、会社側の予想を変えるケースも少なくない。

そこで「手前みそ」になるが、前回に続いて、四季報がどの程度業績修正を先読みしていたかをチェックしてみた。今回対象にしたのは四季報新春号が発売となった昨年12月13日以降に業績見通しを修正した会社。増額銘柄には、春号でさらに予想を引き上げているケースも多いので、こちらも注目したいところだ。

まず、上方修正した会社(144社、下表)からみてみよう。ここでは、「会社の営業利益見通し」に対して「四季報のほうが強気」だった銘柄を、その差額の大きい順に並べた。当然、営業利益が巨額の大企業が上位にくる。

最も乖離幅が大きかったのはトヨタ自動車だ。昨年11月6日に修正した通期の営業利益見通しは2兆2000億円だったが、これを今年の2月4日、四季報予想と同額の2兆4000億円に引き上げている。北米や欧州が拡大し国内も後半挽回している。円安も追い風に躍進しており、最新号ではさらに予想を引き上げている。

同じ自動車関連ではデンソーも2月3日に3600億円としていた従来の営業利益見通しを3800億円に上方修正。四季報独自予想(3750億円)に近い水準まで業績修正を行った。トヨタや他メーカー向けに国内外で自動車部品が拡大しており、研究開発費の増加をこなして利益が膨らみそうだ。四季報最新号では、会社修正計画を上回る予想となっている。もちろん最高益更新だ。

トヨタ同様に大幅な増額をピタリと先読みできたのが、武田薬品工業のケース。2月5日に会社が営業益の今期見通しを1400億円から1500億円に業績修正したが、これが四季報新春号の予想数字と同じだった。中国など新興国が牽引する格好で伸びており、春号ではさらに予想を引き上げている。

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