堂々と「副業」する人が本業先で欠かさないこと これから必要なのは「副業マネジメント力」だ
副業のメリットについて個人および企業ごとに考えてみよう。個人におけるメリットは主に3つある。
1つ目は、実践的な知識や実務経験を得られること。これは複線的なキャリアを積むうえで大きなメリットになりうる。2つ目は、ネットワークを確立できること。仕事を通じて培われるネットワークは、本質的であり関係性も深くなる。そのようなネットワークを増やしていけることも個人にとって有益だろう。3つ目は、自分の志ややりたいことの確認ができること。これは安易な転職を防ぐことにもつながる。
企業におけるメリットも同様に3つある。1つ目は、社内のみでは得られない知恵や実践的な知識が外から持ち込まれること。これらはイノベーションを起こしたいときや新しい取り組みを始めたいときに、これまでと異なる発想を生む要素となりうる。2つ目は、社員に社内では得られない成長機会をつかんでもらうこと。3つ目は、社員と健全な緊張関係を保ったうえで、建設的な議論ができることだ。
副業する社員に求められるセルフマネジメント力
私の周りでも副業を始める人が増えている。例えば、技術力やスキルでいろいろなところに貢献したいという思いのあるエンジニア職の人は、自分のやりたいことや志を副業にうまく順応させているという印象がある。自分の時間の使い方を熟考し、本業に差し支えのない範囲で、スタートアップで自らコードを書いたり、若いエンジニアに知識を伝えたりする人もいる。
ITサービスの会社に所属し、『グロービス学び放題』のコミュニティーをサポートしている佐野桃木氏は、本業と副業どちらもパフォーマンスを落とさないように気をつけていることの1つに「コミュニケーションをする」と挙げた。「本業先と副業先、それぞれの職場で担っている業務や進捗をオープンに共有したり、本業先には何がOKで何がNGかを細かく確認したりするよう心がけています」。
副業する社員には当然本業がある。都度、コミュニケーションを取りながら、本業でできていることとスキルアップすべきこと、また、副業先で挑戦していることをすり合わせていくことは重要である。
グロービス学び放題のプロジェクトマネージャーを務める染谷洋平氏は、社内理解を得るために「社内に副業をしていることを明確に明かす」「副業先で得た知見を共有する」と回答。これは、新たな知見や実践的な経験が、本業先にとって十分な価値になるという、企業側のメリットにもつながる。
また、両氏ともに、本業と副業の時間管理に相当意識を払っていることがわかった。副業する社員は、本業先に対しても副業先に対しても、甘えや言い訳が許されない環境に身を置いている。佐野さんも染谷さんも、自己規律と自己管理をバランスよく働かせながら、自己成長につなげていることがわかる。本業と両立させるためには、今の自分が置かれている状況を把握してセルフマネジメントしていくことが肝になる。
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