「iDeCo」のお得な活用法と3つのデメリット 「2000万円問題」で加入者数が急増している

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デメリット③ 納税が少ない人は、節税効果も低い

3つ目は、そもそも税金を払っていない人は、iDeCoの最大のメリットである節税効果が期待できないということ。税金を支払っていない専業主婦などは、戻ってくる税金もありませんから節税の恩恵にはあずかれません。

また、稼いで税金を支払っている人でも、住宅ローン控除や医療費控除、生命保険料控除、地震保険料控除、ふるさと納税などで節税の恩恵をフルに受けていると、iDeCoの節税効果は低くなってしまいます。

そもそも会社員は、配偶者控除、扶養控除(子どもが16歳から18歳までは1人38万円、19歳から22歳までの特定扶養親族は1人63万円)など、家族構成によってさまざまな控除があります。

専業主婦の奥さんと大学生の子どもが2人いる年収400万円のご家庭の場合、生命保険などに月2万円の支払いがあれば、払う税金は所得税4000円、住民税3万8500円の合計4万2500円。このご家庭が、1万2000円まで「ふるさと納税」をすると、税額はさらに減って合計約3万円ということになります。

つまり、どんなにiDeCoを積み立てても、普通のご家庭だと、フルに節税効果を使えない可能性があるということです。

投資なんてするな

2003年の小泉内閣による「貯蓄から投資へ」という流れで、インフレを前提に日本では「投資」がすすめられてきました。ところが実際には、ここ20年近く、デフレの状態が続いています。ですから、その間に投資目的で土地や株を買った多くの方が損をしてきたのではないかと思います。

しかも、働き方改革で給料は目減りし、消費税引き上げで家計がダメージを受けるなかで、財布の紐はますます堅くなり、このデフレ状態は今後も続きそうです。だとすれば、いま慌ててインフレ対策の「投資」など、する必要がないのではないでしょうか。

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バブル崩壊後、景気回復のために国を挙げて「家を買え」大キャンペーンが展開されました。政府の意向を受けた住宅金融公庫が、住宅ローンの金利を大幅に下げ、「フラット35」という商品を売り出しましたが、フラット35にはそもそも年収制限がなく(ただし返済可能な融資額に設定)、本来ならば家など買えないはずの人にも、家を買わせまくりました。

それを応援する大型の住宅ローン減税も、政府から繰り出されました。けれどその後、多くの人が、住宅ローンを返せずに破綻しました。しかも、国が先導したにもかかわらず、景気浮揚にはつながりませんでした。

iDeCoをはじめとする、国を挙げての「投資をしよう」大キャンペーンに、同じような危険性を感じるのは私だけでしょうか。

「千里の道も一歩から」と言いますが、安心した老後を迎えるためには、若いうちから老後のために投資をするのではなく、まずは借金をなくし、次に貯金をする。投資を考えるのは、その後でしょう。

「老後資金2000万円問題」などのフレーズに躍らされることなく、現在の生活を盤石にしてこそ、安心した老後がやってくるのではないでしょうか。

荻原 博子 経済ジャーナリスト

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おぎわら ひろこ / Hiroko Ogiwara

 1954年、長野県生まれ。大学卒業後、経済事務所勤務を経て独立。経済の仕組みを生活に根ざして解説する、家計経済のパイオニアとして活躍。著書に『払ってはいけない』(新潮新書)、『老前破産』(朝日新書)、『年金だけでも暮らせます』(PHP新書)など多数。

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