やっぱり老後2000万円まで貯める必要はない

老後、毎月食費や通信費にいくら使いますか?

あなたは老後、毎月の食事やネット代にいくら使うだろうか?(写真:IYO/PIXTA)

6月に起きた、いわゆる「2000万円騒動」はかなり下火になってきたようです。話題になった金融庁の金融審議会市場ワーキング・グループの議事録(第23、24回)が8月8日に公開されましたので、筆者もひと通り目を通してみました。

議事録は、委員会における各委員の発言が正確に載っており、これは公開されていますから、一度読んでみるとよいと思います。

議論自体は極めてまっとうなものであることは、多くの識者も指摘していますので、その内容について改めてコメントすることはありません。ただ、今回の騒動を振り返ってみて、1つ大きな視点が欠けているような気がしています。それは「支出」の問題です。

老後の食費6.5万円、通信費2.8万円は多すぎる?

「老後の生活に2000万円足りない!」というフレーズだけが取り上げられて盛り上がってしまったため、「もっと若いうちから資産形成しないといけない」とか、「いや、老後も働かないと食べていけない」といった意見。さらには「2000万円足りないのだから、今から積極的に投資して増やしましょう」といった言葉に踊らされて、高額の投資セミナーなどに参加する人も増えています。

しかしながら、これらの考え方はいずれも収支のうち「収入」の部分だけに注目したものです。くだんの報告書に出てくるデータについても「支出」は所与のものとして、2000万円不足という話が独り歩きしているようですが、この支出の中身をよく見ると、かなり不自然な数字が並んでいます。

例えば、食費の部分を見てみますと、その金額は月に6万4444円となっており、支出全体の27.4%を占めています。高齢者の場合、一般的に支出に占める食費の割合は15%ぐらいですから、このデータに出てくる支出総額から計算すれば、月額3万5000円ぐらいになります。

実は、筆者もこのデータと同じ高齢夫婦世帯ですが、夫婦2人だけの生活なので、毎月の食費は3万5000円前後というのは自分の実感とほぼピッタリ合います。食費6万5000円は少し多すぎるように思います。外食の機会が多いということでしょうか。

また通信費が2万7576円となっていますが、これも高齢無職世帯としては少し多いような気がします。食費にしても通信費にしても人それぞれですから、実際にこれくらい使っている人がいても不思議ではありませんが、平均値としてみた場合、やや現実感のない数字になっているように思うのです。

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