「希少資源」争奪戦! エコカーの命運を握るレアアース

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 「普通なら自動車メーカーに取引を提案しても、なかなか相手にしてもらえない。だが、レアアースとなると話は別。逆にこちらが追いかけ回されている」。大手商社の担当者は苦笑いしてこう話す。これまでレアアース(希土類元素)を扱ってきたのは主に中小の専門商社だった。しかし、大手の総合商社が続々と参戦し、目の色を変えて調達ルート確保へと奔走している。

10月下旬、住友商事はカザフスタンの国営原子力公社とレアアース事業に関する覚書を交わした。同国内には、旧ソ連時代に採掘したウラン鉱石の残渣(ざんさ)(残りかす)が大量にある。その中からレアアースを取り出し、2011年から日本へ輸入を開始する計画だ。双日と豊田通商は、ベトナム北西部のレアアース鉱床の開発に乗り出す。これは国営資源会社との共同事業で、11年に操業を開始する。さらに三菱商事も採掘を目的として、ブラジルの鉱山で事業化調査を進めている。

レアアースとはレアメタル(希少金属)の一種で、ネオジム、ディスプロシウムなど17種類の元素の総称。埋蔵量は多くても技術的な理由などから取り出すことが難しいため、特に希少性が高い。他の金属素材の性質を変える特徴を持っており、金属にレアアースを混ぜると、強度や磁力、耐熱性が増す効果がある。「産業のビタミン」とも呼ばれ、永久磁石や2次電池、研磨剤などには必須の素材だ。

だが、その市場規模は年間十数万トンしかない。ベースメタルの代表格である銅の世界生産量と比べると100分の1、金額ベースでも1000億円程度。金属資源ビジネスとしては極めてニッチである。にもかかわらず、大手商社がこぞって確保に走るのはなぜなのか。

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