インスタでファン激増「仲良し夫婦」が作る総菜 「映え」を狙わない料理が人気を集める理由

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料理が好きで食いしん坊。そんなぐっち夫婦が作りやすさを考えて提案する料理だから、「作ってみたい」と思わせるのだろう。今や雑誌そのほかで10本も連載を抱える売れっ子の2人である。

「映えていないと恥ずかしい」感覚は薄まった

ぐっち夫婦も投稿するプラットフォーム、「フーディーテーブル」を運営するアイランドのプロデューサー、大田祥子氏によると、インスタのトレンドが変化したのは2018年半ば。

「インスタは当初、見た目で『すごい』『おいしそう』というものを、みんながまねする感じだったんです。一方で、地味だけどおいしい、家族のためにおいしく作ることを心掛けている人たちも、コツコツとリアリティがある投稿を続けていて、『作ってみたい』『食べてみたい』と、一定の人気がありました。

それが『インスタ映え』が流行語になった頃から、ユーザーのすそ野が広がり、『映えていないと恥ずかしい』感覚が薄まったのだと思います。最近は『いいね』数より、保存数を求めて投稿する傾向があります」と分析する。

インスタグラム自体も、昨年から記事投稿への「いいね」を表示しなくなっており、その姿勢は「『大切な人や大好きなことと、あなたを近づける』というものに変化している」(大田氏)。実質重視の傾向が高まっているのだ。

高校生から料理を始めたというTatsuya氏(撮影:今井康一)

ぐっち夫婦のように、忙しい平日という実際の生活をもとに、「おいしいから作ってみて」という気持ちを込めた投稿が支持されるのは、地に足がついた生活感を大切にしたいと考える人の増加を表している。それは、時短ブームが一段落し、実質重視の傾向が強まる家庭料理全体のトレンドとも合致する。

キャッチーであること、見た目のインパクトの強さより、実生活に使えること。仕事を持つ人が、同時に家庭人であること。どちらも充実させたい、大切にしたいと考える人たちの増加が、「インスタ映え」より現実的なレシピを支持する層の増加につながっているのだ。

阿古 真理 作家・生活史研究家

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あこ まり / Mari Aco

1968年兵庫県生まれ。神戸女学院大学文学部卒業。女性の生き方や家族、食、暮らしをテーマに、ルポを執筆。著書に『『平成・令和 食ブーム総ざらい』(集英社インターナショナル)』『日本外食全史』(亜紀書房)『料理に対する「ねばならない」を捨てたら、うつの自分を受け入れられた』(幻冬舎)など。

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