統合に向け大詰めの日本興亜、波乱含みの12月総会


 この二つは、無関係ではない。もともと保険金支払い遅延問題は、ある役員の昇格をきっかけに、経営陣に不満を持つ内部関係者の告発から広がった。統合に反対するOBらに情報が伝わり、新聞報道で問題が顕在化した経緯がある。

だが、彼らのもくろみは狂った。「一連の混乱も含め、歴代からの経営態勢に問題があると判断した」(金融庁関係者)。行政処分が現経営陣の引責問題に発展しない可能性が大きくなり、次の一手として役員解任の株主提案に踏み切ったとみられる。

ある関係者は「兵頭社長ほか対象となった二宮雅也氏、山口雄一氏は旧日本火災出身。前社長時代は松澤派だったが、現社長の下で統合推進の両輪になった。橋本和生氏は日本興亜生命社長で、同じく統合推進派」と解説する。

通常なら役員解任には、株主総会で過半数の賛同が必要となる。今回は、統合が白紙になれば責任を取る形で解任するという提案に踏み切っており、「とにかく、兵頭社長を辞めさせたいという執念すら感じる提案」(関係者)。

見えぬサウス社の思惑

現体制になって2年半。松澤派の役員を一掃するなど、その影響力を排除してきた。「ワンマンぶりが目に余る。兵頭社長の保身を優先した経営統合には断固反対」とOB株主は憤る。

そうはいっても、かつては同じ会社の仲間。兵頭社長を後継に指名したのも、統合反対派の中心である松澤前社長だ。親密だった関係が、なぜここまで憎み合う仲になったのか。松澤氏は以前、「これまで人事など、社内のことが聞こえても黙っていた。しかし今回の統合だけは黙っていられない」と熱くなった。

損保業界が再編を加速する中で決まった今回の経営統合。12月の臨時総会は大荒れ模様になるのか否か。その行方を握るサウス社の思惑は、まだ見えていない。

(木村秀哉 撮影:今井康一 =週刊東洋経済)

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