おっさんと住む元アイドルの揺れ動く「結婚観」 能町みね子×大木亜希子、「結婚」を語り合う
能町:私は、そんなふうに思ったことはないけど、周りの友人には結局専業主婦になっている人が意外と多くいます。仕事を楽しそうに頑張っていた人が、旦那さんの転勤などの都合であっさり仕事を辞めて家庭に収まる姿を見ていると、正直ちょっと引いてしまうんですよね。正しいとか間違いとかではなくて、あんなに仕事熱心だったのにさみしいな……って思いがあります。アイドルでもそういうのがあるんですね。
大木:ありますね。限りなく自然に、そうなりたいと思っていました。
「この人と向き合いたいな」という真剣な恋愛をしたとき、結果うまくいかなくて、そのショックの反動で、より婚活を頑張ろうと思い、どんどん渦の中に突き進んでいってしまったんです。
能町:失恋で本当に凹んだ経験が私にはまだないんです。「この先、絶対あるよ!」って周りの人に言われることはあるんですけど。
根拠のない「そのうち、出会えるよ」
大木:わかります。「そのうち、そういう人に出会えるよ!!」となんの根拠もなくそういうこと言ってくる人いますよね(笑)。
能町:「現れなかったときに誰が責任とってくれるんだよ、そんな保証ないでしょ?」って。それで、私にはもうそういうことは起こらない、ということにしようと一旦決めたんです。
大木:その決断をしたのはおいくつのときですか?
能町:その考えがサムソンさんと暮らそうという計画につながるので、38歳ころですかね。
大木:お話聞いていると、希望が湧いてきました。
能町:ええっ、それでいいんですか!?
大木:もちろん運命の人に出会えてスタンダードな恋愛をして結婚することには憧れますが、能町さんが、「運命の人に出会うのはもう無理!」と決めて、いま幸せに暮らしていることが、とても救いになります。
能町:それは有難いです。「女の幸せは結婚」という「常識」をもういい加減潰したいと思っていて。「女の幸せ=結婚」って、いまだに言われている気がします。
この言い方、女にしか言わないですよね。一般論として、「男の幸せ=○○」というフレーズには決まったものがあまりないじゃないですか。
大木:そうですね。みんな自由に生きているイメージがありますね。
能町:「女の幸せ=結婚」ではないので、そこを潰していかないと、みんながんじがらめになってしまうと思います。
本人たちが「結婚しました」と言い張ったら、それはもう「結婚」でいい、というように、「結婚」という言葉を意味のないものにしたいと思っています。例えば女同士・男同士で住んでいてもいいし、その2人に恋愛関係がなくてもいい。なんなら3人以上でもいい。
新刊の『結婚の奴』というタイトルも、「結婚」という言葉の意味をわからないものにしたい、という想いも込められています。「奴」という字は、憎い奴だけど嫌いになれきれない対象、みたいな意味で使うし、「奴隷」の「奴」でもありますし(笑)。
大木:アンチテーゼを感じますね(笑)。
能町:反逆心はありますね。
ササポンとの生活は幸せ度でいうと100点満点中何点くらいですか?
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