おっさんと住む元アイドルの揺れ動く「結婚観」 能町みね子×大木亜希子、「結婚」を語り合う

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大木:わかります。嫌な気持ちを抱えたまま帰宅したとき「おかえり」と言ってくれる人がいるだけで救われるんですよね。

能町:ササポンはそれをやってくれるんですよね。

大木:そうですね。

能町:1人だったらだらしなく暮らすところを、他人がいたら少しは気をつけようと思いますよね。人と暮らすだけで、生活習慣も整うようになります。

大木:私も風呂ナシアパートで独り暮らしをしていたときは、マットレスの上でお菓子をボリボリ食べていました(笑)。虚無感しかなくて、平日に肩肘を張って頑張ってしまうからこそ、土日は、人に見られていないし、どう思う人もいないから、だらしない生活をして虚無感に苛まれて。

能町:そんな中で合コンに行っていたエネルギーがすごいですよね(笑)。そのバランスが新鮮ですよ。合コンって、ツテがあるんですか?

大木:そこは、元アイドルネットワークですね(笑)。

能町みね子(のうまち・みねこ)/文筆業。1979年、北海道生まれ、茨城県育ち。2006年、イラストエッセイ『オカマだけどOLやってます。』(竹書房)でデビュー。著書に『ときめかない日記』(幻冬舎文庫)、『お家賃ですけど』(文春文庫)、『私以外みんな不潔』(幻冬舎)など。独自の視点と知性光るユーモアから繰り広げられるトークも人気で、ラジオやテレビなどでも活躍している(撮影:風間 仁一郎)

能町:ネットワークはたくさんあったんですか?

大木:信頼している友達2~3人から、案件が来るという感じです。

能町:来る男性はどんな人ですか?

大木:ある程度社会的地位があって、紳士的な男性が多いですね。業界が長いと嗅覚が冴えてしまい、「この人ヤバイ」と感じたら、さり気なく帰るという要らないスキルばかりが身に付きました(笑)。今思うと、本当に何していたんだろう、という感じです。

能町:もし、相手がみつかったとしたら、その後はどうするつもりだったんですか。

結婚報告をすることに憧れていた

大木:私のプランでは、まず「このたび一般男性と入籍を……」というご報告ブログやインスタをあげて、結婚式を挙げて……というのにめちゃくちゃ憧れていました。

能町:へえ! 結婚後は表舞台から去って、専業主婦になることを考えていたんですか?

大木:そうですね。そうしなければいけないという固定観念がありました。

能町:周りにそういう人が多かったんですかね。

大木:そうですね。アイドルやっている人は頑張り屋さんなので、仕事をゴリゴリ頑張るか、ちゃんとプランを立ててすてきな男性を捕まえる人もいました。それは1つの戦い方だと今は思えるのですが、私は当時ふわふわしていたので……。

能町:計画どおりに専業主婦になれたとして、それがゴールなんですね。私はそれがいまいちピンと来なくて。アイドルという仕事を勝ち取ったゴールの先に専業主婦がある、というのがとても不思議です。仕事がやりたくてうずうずしそうな気がして。

大木:アイドルをやれるだけのポテンシャルがある子たちなので、実際の生活が始まったら、何かやりたいという欲求が出てくるかもしれませんが、私が見てきた子たちや私自身の当時の野望は、専業主婦になってお金に困らない生活をしたいという切実な気持ちがありましたね。

能町:ある意味、楽になりたい、というような?

大木:人生ゲームでゴールしたい、という感じですね。お恥ずかしい話ですが。

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