京成にもある「加算運賃」、いつ引き下げられる? さらなる利用者獲得へ京王や京急に続くか

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鉄道事業者において加算運賃に対する判断は財務状況や競合交通機関に対する戦略などを含む経営方針を踏まえて下されるはずだが、京成電鉄にはこれらのほかにも、自社の運賃体系への影響を考慮しなければならない事情もある。仮に京成本線の加算運賃が撤廃されると、京成本線経由と成田スカイアクセス線経由の運賃差が拡大する。

成田スカイアクセス線経由と京成本線経由では同じ運賃で利用できる距離がこれほど異なる(筆者作成)

たとえば現状でも、京成上野―成田空港間の京成本線経由69.3kmの運賃1050円と同じ金額で、京成上野から成田スカイアクセス線経由では36.5km地点の千葉ニュータウン中央までしか利用できない。

線路を共有する北総線の運賃問題について意見発信を続けている地元紙「月刊千葉ニュータウン」発行人の武藤弘さんは「成田空港アクセスをめぐる競争が進展すると、京成は加算運賃引き下げに着手せざるをえない局面がくるだろう。そうなれば、北総線運賃の見直しにも話が及ぶのでは」と指摘する。

引き下げ時期は?

国土交通省の通達では、建設コスト回収が100%に到達した段階で加算運賃を撤廃することが明記されている。京急電鉄は回収率80%程度、京王は回収率90%程度の段階で加算運賃の引き下げを決断したことからもわかるとおり、回収率100%到達前の加算運賃引き下げや撤廃の時期に関する判断は個々の鉄道事業者に委ねられているのが実情だ。

仮に京成電鉄が本線の加算運賃の引き下げや撤廃を回収率90%の段階で行う場合、近年の回収率が毎年2ポイント程度進捗している状況が継続する前提では7年を要する。また、回収率100%に達する年数は12年と予想される。

京成本線の加算運賃の回収率が100%に到達すると見通された時点で、引き下げまたは撤廃を求める声が高まることが予想される。同社の加算運賃の撤廃時期は、実際いつになるのだろうか。

大塚 良治 江戸川大学准教授

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おおつか りょうじ / Ryouji Ohtsuka

1974年生まれ。博士(経営学)。総合旅行業務取扱管理者試験、運行管理者試験(旅客)(貨物)、インバウンド実務主任者認定試験合格。広島国際大学講師等を経て現職。明治大学兼任講師、および東京成徳大学非常勤講師を兼務。特定非営利活動法人四日市の交通と街づくりを考える会創設メンバーとして、近鉄(現・四日市あすなろう鉄道)内部・ 八王子線の存続案の策定と行政への意見書提出を経験し、現在は専務理事。著書に『「通勤ライナー」 はなぜ乗客にも鉄道会社にも得なのか』(東京堂出版)。

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