京成にもある「加算運賃」、いつ引き下げられる? さらなる利用者獲得へ京王や京急に続くか

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京急電鉄広報部は値下げ実施直後の羽田空港2駅の10月の営業成績について「前年同月比9.4%増の409万人で、当社として想定した範囲でのスタートだった」(同)と分析する。11月は同11.5%増の420万人だった。

京王電鉄は相模原線の加算運賃を2019年10月1日に引き下げたが、2018年3月17日にも実施している。この引き下げは、小田急小田原線複々線全面開業と同じタイミングで行われた。2019年10月以降の新宿―多摩センター間の普通運賃は小田急380円に対して、京王330円と50円安い。

京王電鉄広報部は「相模原線の輸送人員は堅調に推移しているが、加算運賃引き下げ以外の沿線環境などにも基づくものとなるため、直接的な効果については把握していない」と話す。国土交通省の公表資料(2019年3月12日)によると、加算運賃による建設コストの回収率は93.5%となっている。

京成にもある加算運賃

このように、首都圏においては京急と京王が加算運賃の引き下げに踏み切ったが、次に注目したいのが、成田空港アクセスを担う京成電鉄の動向だ。同社は、京成成田―成田空港間および東成田間で加算運賃を設定している。

東京都心―成田空港間の主な公共交通アクセスとしては京成電鉄のほかに、JR東日本と高速バス(LCCバス含む)などがある。「2018年度 成田国際空港アクセス交通等実態調査 報告書」で示されているシェアは、京成電鉄27.8%、JR18.5%、バス24.2%である。

2012年度比では、京成電鉄が4.9ポイント、JRが8.3ポイント、バスが15.2ポイント、それぞれシェアを増やした。

京成電鉄には、京成本線経由と成田スカイアクセス線(成田空港線)経由の2つのルートがあり、2つのルートで異なる運賃体系が併存している。たとえば、京成上野―成田空港間の運賃は京成本線経由が1050円(京成成田―成田空港間の加算運賃140円を含む)、成田スカイアクセス線経由が1270円である。

利用者にとっては発駅と着駅が同一であるにもかかわらず、経路により運賃が異なる京成電鉄の運賃体系は複雑に映る。一段と顧客を誘引するうえでは、シンプルな運賃体系のほうが有利と考える。なお、本線経由では、日暮里―空港第2ビル間の所要時間は一般列車利用で約70分である。

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