オランダ発、「電気の共同購入」は普及するか 自治体と提携、環境に優しい電気を安く提供

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アイチューザーは、こうした電気の共同購入事業をオランダで2009年に開始。オランダ、ベルギー、英国の3カ国での累計の参加登録は約463万世帯に上り、うち約175万世帯が実際に料金プランを切り替えているという。いずれのケースでもアイチューザーが地方自治体や住宅のオーナー組合、環境団体などと協定書を締結している。

アイチューザーは、自宅の屋根に太陽光パネルの設置を希望する住民向けの共同購入サービスも手掛けている。こちらは希望者を募ったうえ、割安な価格で設備を提供する施工販売会社を紹介するというもの。競争入札で低い価格を提示した会社のうちから候補先を選定する。契約については、各家庭と施工販売会社との間で締結する。

施工販売会社にとっては、各家庭への営業活動をせずに、まとまった量の工事を獲得できるというメリットがある。工事スケジュールも予想しやすいため、コストダウンが図れる。そのことにより、低価格を実現できるという。

こうした太陽校発電設備の共同購入ビジネスは2012年にオランダで開始した後、ベルギー、イギリスと合わせた3カ国での参加登録者数は約36万3000世帯、設置件数は約4万6000世帯となっている。

神奈川の約150世帯が太陽光設備を共同購入

アイチューザーは日本において、2019年に神奈川県と太陽光発電設備の共同購入事業で協定を締結し、同年8月に県内の152世帯が導入を決めた(参加登録は446世帯)。競争入札の結果、一般的な市場価格よりも26%安く導入できた。神奈川県に次いで、大阪府とも2020年1月10月に提携を決めている。大阪府の場合は、蓄電池とセットでの太陽光発電設備の共同購入として日本では初めてのケースとなる。

一方、電気の共同購入事業は、東京都に続いて大阪府吹田市とも協定を締結した。

共同購入は生活協同組合と似た仕組みだが、組合員を持たない新興企業のアイチューザーの強みはどこにあるのだろうか。アイチューザー日本法人の藤井社長によれば、「消費者に行動を起こさせる要素を盛り込んだビジネスモデルを磨き上げていることにある」という。

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