38歳A.T.カーニー新代表「関灘茂」の圧倒的努力 「コンサルティングの仕事は一生飽きない」

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

新代表に就任した関灘氏は抱負についてこう語る。

「近年、トランスフォーメーション(変革)が多くのコンサルティングファームのテーマ。しかし僕は、変革だけでなく、創造も必要だと思っています。日本は大企業が社会的影響力を持ち続けている。だから、率先して変革だけでなく、創造すべきだ。新産業・新企業・新モデルを創るということです。

そのためには企業の利益の最大化は大前提ですが、今ある社会課題にもアドレスする必要がある。そうしないと、日本の失われた20~30年が、30~40年になる。僕らはそれを見守った人たちになってしまう。それは本当に恥ずかしいこと」

「A.T.カーニーの社員だけでは、どうしてもアドレスできない社会課題があることもまた確かです。そこにリーチするために、まずはビジネスをコアに、テクノロジーやクリエーティブの領域で、他社とも積極的に協働していきたいと考えています。

自分の売上金額だけを増やすようなファームにはならない。経営コンサルティングに丸投げすると、高額になります。それに、テクノロジーやクリエーティブの真のプロフェッショナルは、コンサルティングファームには入らないでしょう。より適正なフィーで付加価値のあるサービスを受けたい。誰しもそう望んでいるはずです。ベストチームを作ることに、思いを持って取り組みたいですね」

兼業が許可されているA.T.カーニー

A.T.カーニーでは兼業が許可されており、元代表で現日本法人会長の梅澤高明氏もDJや大学教授と兼業していることで知られる。また、OBの中には起業家や日本企業の経営陣、NPOなどの第一線で活動する人材も多い。

「福島の復興、宇宙カンファレンス、ナイトタイムエコノミー――。会長が50%勤務で兼業して、1円の売り上げにもならないことをやっているグローバルコンサルティングファームはそうそうないのではないでしょうか。カーニーの中で兼業している人や、卒業して社会課題にアドレスしているOBをどう応援、支援できるのか。カーニー自身が試行錯誤する必要があります。カーニー日本法人自体の経営もまた、1つの面白いテーマです」

関灘 茂(せきなだ しげる)/A.T. カーニー 代表取締役 マネージングディレクタージャパン。1981年生まれ、兵庫県神戸市出身。神戸大学経営学部卒業後、A.T. カーニー入社。2014年、同社最年少でパートナー昇進。INSEAD(欧州経営大学院)MAP修了。消費財・小売りプラクティス、および、デジタルトランスフォーメーションプラクティスの日本におけるリーダー的存在。

関灘氏の平均睡眠時間は、入社以来、3時間から4時間ほど。苦手なことは「なんとなく物事を進めること」だという。

「腹落ちせずになんとなく進める、ということがどうしてもできない。取り組む意義、本質的に『ああやりたい!』と心の底から思わないと、やれません」

手帳に自分は何のために生きているのか、なんのために何の目標だったらやりがいがあるのか、つねに書き付けてある。

「そのために、定期的に内省の時間を取ります。やる意義を見つける、言語化する時間をものすごく大切にしていますね」。

「僕は何事も長く深く付き合うタイプ。クライアント企業ともそうありたいと思っています。

10年単位で物事を見る、計画を立てる。長くお付き合いしている方々が自己ベストを更新している状況、そのときに発せられる空気や充実感が好きなんです。それを見るとこちらも刺激をもらえる。刺激を与えているようで実はいただいているんです。もともとは飽き性でもあるんですよ。でもコンサルティングの仕事はまったく飽きない。一生飽きることはないでしょうね」

予定された任期は3年間。等身大の「史上最年少代表」はコンサルティング業界を、日本をどう変えることができるのか注目したい。

富谷 瑠美 香港在住コラムニスト

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

とみや るみ / Rumi Tomiya

2006年早稲田大学法学部卒。アクセンチュアで全国紙のITコンサルティングを担当したのち、日本経済新聞電子版記者、リクルートグループの編集者を経て、子連れで香港に移住。Twitterはこちら。

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
マーケットの人気記事