38歳A.T.カーニー新代表「関灘茂」の圧倒的努力 「コンサルティングの仕事は一生飽きない」

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大学1~2年生の間には、イノベーションやマーケティングなどを中心に、経営学関連の書籍を200~300冊ほど読んでいたという。大学1年生時に履修した「経営学基礎論」という授業でビジネスにおける「フレームワーク」という考え方を知る。それらを開発した外資系経営コンサルティング会社の存在に魅力を感じるようになった。

「ここが、やりたい仕事ができる場所だ!と思いました。でも、コンサルティング業界の就職本を読むと、東京大学や京都大学の出身者ばかり。神戸大学からはエントリー資格もないのかも、と思ったこともありました」

当時関西には、コンサルティング業界に関して東京ほどの情報量がなかったという。そこで関灘氏は、塾の講師で稼いだお金で東京へ行き、経営コンサルタントとして実際に働いている人物に会ってみようと考えた。情報を探すうちに、とある外資系コンサルティング会社の戦略部門でパートナーを務める人物の就活生向けセミナーが、東京であることを知る。1時間半のセミナーのために、新幹線に飛び乗った。

「その方のプレゼンは衝撃的でした。自己紹介のパワーポイントは、数字が3つ並んでいて、ただそれだけ。でもそれで1時間しゃべる。まったく飽きない。僕は『(新幹線代の)元を取らなくちゃ』という頭があったので、終わった後に『うちのゼミ生全員に今日の話を聞かせてほしいんです!』と直談判し、そのあと全員で東京に押しかけました」

あまのじゃくな性格で…

そもそも、外資系経営コンサルティング業界には、平均勤続年数が5年に満たない会社もあり、辞めることを前提に入る会社と言っても過言ではない。コンサルティング会社間の転職も激しく、海外大学のMBA取得者の就職先としても好まれるので、中途入社も多い。新卒入社するには、数百倍以上とも言われる倍率の選考を突破する必要がある。

2003年のA.T. カーニー新卒採用は9人。そのうちの1人として入社した関灘氏は、先輩やヘッドハンターなどから次のように言われたという。

「マネージャーのうちに辞めて転職するのが、いちばん市場価値が高い」

同社は、ビジネスアナリスト、シニアビジネスアナリスト、アソシエイト、マネージャー、プリンシパル、パートナーという役職がある。昇進していけるかはクライアントへの貢献度・実力次第だ。そして、パートナーまで昇進すると、プロジェクトの実行だけではなく、プロジェクトの組成や売り上げにも最終的な責任を持つ。

「残れるところまで挑戦し続けよう」と決意した(撮影:梅谷秀司)

関灘氏が入社した当時は、新卒入社でパートナーまで昇進したコンサルタントはゼロ、プリンシパルすら1人もいなかった。

「あまのじゃくなところがあるので、プリンシパルやパートナーになれるかはわからないけれど、挑戦し続けてみようと思いました」

新卒採用の選考過程でも、ユニークさを発揮した。当時、A.T. カーニーの採用プロセスは書類選考→1次面接(グループ面接)→2次面接(グループディスカッション)→ジョブ選考(コンサルタントのもとでの5日間の個人ワーク)→内定となっていた。

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