のんとwithnews編集長に学ぶ共感の引き出し方 テクニックに走らず素直な感情を乗っける

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奥山晶二郎/2000年、朝日新聞社に入社。 2011年に現在のデジタル編集部新設に伴い異動。「withnews」立ち上げに携わり、編集長を務める(写真:news HACK by Yahoo!ニュース)

奥山:のんさんのメッセージって、すごくポジティブなことが多いなと思っていて。例えば舞台終わった後にいろんな関係者と写真を撮られていたり、見るだけですごくハッピーになるというか。

SNSってなかなかネガティブなところもあったりする世界ですが、ポジティブなメッセージを伝えるために必要なことや、アドバイスをお聞きしたいです。

のん:ネガティブな気持ちのときは、SNSを開かないようにしています。

奥山:おお、わかりやすい! じゃあ開くときはポジティブなときだけ?

のん:ポジティブなときですね。気持ちが高まっているときとか、楽しい気持ちでつぶやいたり投稿できるときに開いています。

炎上も対応をセットで考え、ポジティブな流れに変える

――「バズる」ことが重視される空気の中で発信される情報が偏ったり分断を生んだりしていることについてどう感じていますか?(会場からの質問)

奥山:バズればいいや、みたいに思っちゃうところがもったいないんじゃないか、という問いかけだと思うんですけど。 リツイートが多いとうれしいところもあると思いますが、 多いことが目的ではないような気もします。どのように感じられますか?

のん:私自身が「バズる」という言葉を知ってから、すごく気をつけている部分はあります。 やっぱり本当に楽しいことで、皆でそれを共有できて広がっていくのがいちばんうれしかったり気持ちいいことで、 そのほうが自分は好きだなって思います。

奥山:数字って単なる数字のようで「一過性で終わる数字」と「定着する数字」があったりして。

記事の場合も、めっちゃ読まれる記事ってあるんですけど。その後もう1回(ユーザーが)来ないような形の読まれ方と、 それがきっかけでどんどんフォロワーが増えたり企画名をつぶいてもらえるような読まれ方とがあって。例えば同じ1万PVでも、結構違っていたりするのが面白いなと思います。

のん:これはもう成功だったなという記事ってあるんですか?

奥山:成功だったのは、炎上したように見えて実はそうじゃない形で着地できたことがありました。

のん:ええ、なにそれ?

奥山:シェアハウスってあるじゃないですか。そこで子育てをしている家族がいて、“保育のシェア”みたいな取り組みをしようというのを取り上げた記事があったんです。

それを最初に書いたときに「子どもを家族じゃない人に預けるのはどういうことだ?」といったわりと偏った声が集まって。

取材に協力してくれた人と話して、じゃあそういった疑問に答えようと。記事についたコメントに丁寧に全部答える形で「保育のシェアってそんなに変なことじゃないのでは?」という記事をもう1本書いたんですよ。

例えば、昔の日本のご近所づきあいで隣のおばさんが面倒を見てくれたのも、シェアハウスで一緒に住んでいる人に面倒を見てもらうのと、そんなに変わらないんじゃないか?とか。

そのように丁寧に答えていくと記事の反応ががらっと変わって、すごいポジティブな流れになって。もしかしたら最初の記事のビューと、2本目の記事のビューって、質が違ったのかなという気がして。

のん:なるほど。ドラマチックですね。

奥山:炎上も、見え方やその後の対応をセットで考えると炎上じゃなくなることもあるんですよね。

のん:やっぱり、明るいことや前向きなことに昇華できるとすごくいいですよね。

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