ゴーン逃亡、「自家用機」出国がザルすぎた理由

保安検査なしが常識、関空は大型荷物をスルー

これだけの大きな荷物であれば、一般的には空港内で地上業務を担当するグランドハンドリングスタッフがプライベートジェットに積み込むことになる。中に人間が入っていれば、積み込む際に気づく可能性が高いはず。だとすると、高価な貴重品ということで搭乗者が自身で積み込み作業を行って、グランドハンドリングスタッフには一切触らせなかった可能性も否定できない。誰がどのように積み込んだのかについても検証が必要だろう。

ただ、仮に出国できたとしても到着空港での入国審査や税関は本来なら簡単に通過できない。海外からの出国記録がなく、加えて搭乗者名簿にも記載されていなければ、到着空港での入国審査の段階で不審に疑われる可能性が高い。レバノン政府は合法的に入国したと発表しているので、事前に手はずが整っていたということか。これが一般人であればまず合法的な入国をするのは不可能だろう。

乗り慣れているからこそできた逃走劇

すべてにおいて言えることは、日本の空港におけるプライベートジェット事情に精通していないと実行できない方法であり、リスクを最小限に抑えた方法だったことは間違いない。

やはり、普段、日本と海外をプライベートジェットで移動していたゴーン被告自身、手荷物における盲点がわかっていたはずであり、その隙間を縫って協力者と逃走のシナリオを練ったことだろう。その答えが関空からの出国だったのだ。現時点で検証する限り、理にかなった逃走ルートだと思う。

話が少し飛躍するし現実的にはありえなかっただろうが、麻薬や武器などの犯罪を誘発するような荷物もこれまでプライベートジェットで運べていたのかもしれない。

国土交通省はゴーン被告逃亡を受けて1月6日、航空法に基づいて、自家用機専用施設がある成田、羽田、中部、関西の4空港施設の管理会社に、大型の手荷物を持ち込む際に保安検査を義務付ける通達を出した。時すでに遅しだが、今後はこれを教訓として運用を徹底する必要がある。そうしなれば莫大なお金と協力者さえ確保できれば、今回のような逃走劇は再び起こりうるからだ。

洋上空港でもある関西国際空港。ゴーン被告が日本で最後に訪れた場所となった(筆者撮影)
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