米軍での性的暴行に声を上げる「男性」被害者 その数はなんと1万人に上る

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 ジャック・ウィリアムズ 71歳
  空軍に入隊、1966年に被害を受ける

「報告しても、誰も信じないよ」。新兵訓練のキャンプで、空軍の訓練担当軍曹はウィリアムズにそう言った。

それは午前2時、軍曹のオフィスでのことだった。軍曹は、18歳だったウィリアムズが気絶するまで首を絞め、隣の部屋で何十人もの新兵が眠っている中、机の上でウィリアムズをレイプした。

空軍当局に事件を報告したが

1966年当時は、軍隊には現在のような暴行防止と対応のプログラムなど存在せず、暴行を訴えた兵士が守られることもなかった。兵士の間で同性愛は禁止されていただけでなく、国家の安全保障上の脅威と見なされていた。

「名乗り出て、レイプされたと言ったら、同性愛者か児童性虐待者だと思われる。それはお前が悪かったんだと言われる」。現在、ワシントン州エベレットで暮らすウィリアムズはこう話した。暴行のあと、できる限りのことをし、シャワーを浴びて、ベッドに戻った。

基本訓練の期間中に、軍曹はさらに2回、彼をレイプした。毎回、ウィリアムズは黙っていた。新兵訓練をやり遂げると心に決めていたからだ。訓練を終えるとすぐに、ウィリアムズは空軍当局に事件を報告した。軍曹が逮捕され、調査が行われることを期待していた。

空軍の対応について話すとき、何十年も経ったいまでも、彼は怒りに声を震わせる。「調査官が電話をかけてくることはなかった。何も行われなかった」。

さらに、彼の指揮官は彼の勤務成績に文句を言い始めた。というのも、レイプにより腎臓を悪くし、直腸が損傷したからだ。また、治療を受けるために訓練を休みすぎたからだ。やがて、彼は空軍を除隊させられた。除隊理由は、医療的に不適応のためとされている。

「わたしには未来があった。国のために尽くしたかったし、よい兵士だった」。こうウィリアムズは語る。「そのすべてが奪われてしまった」。

(執筆:Dave Philipps、翻訳:東方雅美)
© 2019 The New York Times Company

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