木村拓哉に圧倒的魅力を感じてしまう理由5選 賛否両論にさらされ試行錯誤しながらも着実だ

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その4.プレイヤーか、マネージャーか 見極める

木村拓哉は結果的にチームを引っ張っていく役割を演じることが多いが、いわゆるリーダーではない。もともと彼が所属していたSMAPがそうだったように、リーダーは別にいる。『グランメゾン東京』でもオーナーシェフは別にいて、木村が演じる尾花はあくまでプレイヤーだ。だからこそ、仲間に各々の得意分野を任せ、自由な発想で、状況を切り開いていくことができる。

自分がプレイヤー向きか、管理職向きか、見極めることが必要だ。

その5.信念を曲げない 熱さ

木村拓哉は仲間を決して見捨てない役割が多い。『グランメゾン東京』では後輩・平古のミスをかばったことで、三ツ星が危うくなるにもかかわらず、その後輩をグランメゾン東京に呼ぶという人情話も託されている。

真っすぐな日本の良心を演じている

いまどき、まっとうに熱く真っ直ぐな人を描いたドラマは少ないが、やっぱり、人としてこうありたいという倫理観を描いた作品があっていい。いや、あってほしい。こういう役をやり続ける木村拓哉は日本の良心だと思うし、彼の演じる役の真っすぐさを持っていたいと思う。

波に乗っているときは誰しも気分がいいしその流れに乗っていれば物事はスムーズに進む。だが、いったん、波が引いたときにどうするか。そこにこそ人間力が試される。たとえば、視聴率が思うようにとれないときでも、木村拓哉は堂々として見える。また、出る杭は打たれるもので、つねに賛否両論にさらされる。圧倒的に支持される一方で、アンチも存在する。心ない批評にどう耐えるか。それも人間力。きっと見えないところで新たな挑戦を課したり、試行錯誤を繰り返したりしてはいるのだろうけれど、揺らぎを見せることなく着実に歩んでいる印象だ。

それもまた、関わるスタッフや共演者を信じ、応援してくれる人たちを信じているのだろう。もちろん、なにより自分を。

というわけで、これからの木村拓哉の生き方も注目していきたい。

木俣 冬 コラムニスト

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きまた ふゆ / Fuyu Kimata

東京都生まれ。ドラマ、映画、演劇などエンタメ作品に関するルポルタージュ、インタビュー、レビューなどを執筆。ノベライズも手がける。

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