音楽業界ビビらせたテイラー・スウィフトの乱

投資ファンドのカーライルまで巻き込んだ

投資ファンドに救いを求めたテイラー・スウィフトが求めたものとは(写真:Krista Schlueter/The New York Times)

11月半ば、アメリカの投資ファンド大手カーライル・グループの重役のスマートフォンに気になる情報が表示された。歌手のテイラー・スウィフト(30)が、同社に救いを求めたというのだ。

スウィフトはソーシャルメディアに公開書簡を投稿。スウィフトが白日の下にさらさなければ世間に知られることはなかったであろう音楽業界のトラブルをめぐり、ファンに力を貸してほしいと呼びかけた。

スウィフトが求めていること

スウィフトによれば、アメリカン・ミュージック・アワードで昔のヒット曲を演奏しようとしたところ、かつて所属したレーベル「ビッグ・マシーン」を買収したスクーター・ブラウン(38)らからの妨害にあったという。スウィフトはフォロワーたちに対し、ブラウンにファンの思いを伝えるよう呼びかけるとともに、ブラウンがビッグ・マシーンを買収した際に資金援助したカーライルに対し「とくに力を貸してほしい」と述べた。

この投稿のあと、ブラウンのもとにはファンからの怒りの声が殺到した。ブラウンによれば、自分や家族に対する殺人予告まであったという。エリザベス・ウォーレン上院議員やアレクサンドリア・オカシオ=コルテス下院議員は、この問題を未公開株投資会社への批判材料として利用、大きな政治的話題にもなった。

反響の大きさにはカーライルも関心を抱かずにはいられなかった。同社は世界有数の未公開株投資会社で、すぐに対応を取った。4人の関係者によれば、両者の交渉を後押しするとともに、ブラウンにはスウィフトに手を差し伸べるよう促したのだという。

カーライルの介入(双方の関係者によれば、このおかげで戦いは解決に近づいた)からは時代の空気が見えてくる。また、大企業の強欲ぶりに対する世論の怒りと性差別的な権力の力学に対する意識の高まりを背景に、スウィフトはビジネス上の対立を誰もが知る「大事件」へと変えることができた。

4人の関係者によれば、落としどころとしては提携や合弁契約などさまざまな形が考えられる。だがスウィフトが理想とする解決法は(スウィフト側の関係者によれば、たぶんそれ以外の選択肢は受け入れないと見られる)、昔の楽曲のマスター音源の所有権をビッグ・マシーンからスウィフトに移す売買契約とみられる。そうなれば、スウィフトは数億ドルを負担することになるかもしれない。

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