音楽業界ビビらせたテイラー・スウィフトの乱 投資ファンドのカーライルまで巻き込んだ

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サモンズは、カーライルがスウィフトという「もの言うポップスター」からの攻撃の矢面に立たされていることもわかっていた。だがスウィフトの楽曲の権利の価値の高さと、ビッグ・マシーン所属のほかのアーティストたちへの投資の機会ゆえに、イサカへの出資は魅力的なビジネスチャンスだとサモンズは考えていたと関係者の1人は言う。

古巣の買収契約がまとまるや、スウィフトはインタビューで古い楽曲を録音し直す可能性に言及した。ブラウンが金を出して買った楽曲の権利やオリジナル音源の価値が下がるかもしれないという脅しだ。ブラウンとボーチェッタは、スウィフトが事実をねじ曲げて被害者のような口をきいていると非難、この半年、交渉しようという試みをはねつけてきたのはスウィフトのほうだと述べた。

「いい子にして口を閉じていろ」

11月14日にスウィフトは、再びブログを投稿し、「いい子にして口を閉じていろ」というに等しいことをブラウンとボーチェッタから言われたと述べた。2人は「専制的な支配を」押し付け、アメリカン・ミュージック・アワードでのパフォーマンスを妨害すると脅し、制作中のネットフリックスのドキュメンタリー内での楽曲の使用も拒んだという。

サモンズはこのスウィフトのブログを投稿後すぐにスマートフォンで見た。そして事態の成り行きを懸念した彼は行動に出たと、関係者2人は言う。スウィフトをなだめる方策を考えるためにブラウンらと接触したのだ。マスター音源の買い取りに応じることも含めて検討した可能性もある。それからまもなく、公にまた私的にスウィフトへの提案が行われた。関係者が皆、納得するような出口を一緒に探そうと声をかけたのだ。

11月22日、ブラウンはインスタグラムで、この問題に関して初めて公の場で発言した。ブラウンの家族に向けられた脅迫について、自分が果たした役割を考えてみるようスウィフトに呼びかけるとともに、「一緒に解決策を探す努力をする」ことを期待すると述べ、「あらゆる可能性に対しドアを開いている」とも主張した。

そうは言っても、ブラウンは音源の売却には二の足を踏むかもしれない。イサカの版図拡大という、より大きな戦略にとってビッグ・マシーンは欠かせない存在だ。現在イサカは音楽出版やアーティストのマネジメントのほか、映画制作会社ミソスにも出資している。

ブラウンにとって、大手レコードレーベルを経営する一方でハリウッドの映画プロデューサーとして活躍したデービッド・ゲフィンは英雄だ。同じような娯楽業界の大物になる足がかりとしても、ビッグ・マシーンは役立つかも知れない。


(執筆:Kate Kelly,記者、Joe Coscarelli記者、Ben Sisario記者、翻訳:村井裕美)
(c) 2019 New York Times News Service

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