音楽業界ビビらせたテイラー・スウィフトの乱 投資ファンドのカーライルまで巻き込んだ
おまけに、スウィフトを守ろうとする思い入れの強いファンたち(スウィフティーズと呼ばれる)の存在もあった。いつ何時、誰が標的になるかもわからないのがソーシャルメディアの炎上だが、カーライルとしては人目に立つ形で騒ぎに引きずり込まれるのは本意ではなかったと、関係者のうち3人は語った。
スウィフトは以前から、音楽ビジネスにおける不正(と彼女が考えるもの)に異議を唱えてきた。過去のアップルやスポティファイとの対立もその一例だ。今回、自らの不満を最初に公の場で明らかにしたのは今年6月で、これがカーライルを騒ぎに引きずり込むことになった。
最初6枚のアルバムの音源と権利を保有
ブラウンはジャスティン・ビーバーを発掘し、アリアナ・グランデやカニエ・ウエストのマネジャーを務めたこともある人物だ。イサカによるビッグ・マシーン買収に伴い、スウィフトの楽曲の音源および権利をブラウン側が手にしたのは6月30日のことだった。
ビッグ・マシーンはテネシー州ナッシュビルの独立系レーベルで、スウィフトが15歳のカントリー歌手だったときに所属契約を交わした。スウィフトの最初の6枚のアルバム(いずれも数百万枚を売り上げる大ヒットとなった)の音源および権利を保有しており、ファンがストリーミングで聞いた場合であれ、ハリウッド映画で使われた場合であれ、楽曲の使用料はつねに同社に入ることになっている。
ビッグ・マシーンの企業価値について説明を受けた2人の人物によると、イサカは同社の買収のために 300万〜350万ドルを支払ったという。買収によってスウィフトとブラウンとの間に接点ができたが、それとともにスウィフトからブラウンへの反感も高まった。これは主に、以前から敵対関係にあるウエストとの関係が原因だった。
スウィフトはブログに、買収によりブラウンとビッグ・マシーン創業者のスコット・ボーチェッタ(イサカの取締役に就任)は、「彼らと関係するのはごめんだと思っていた1人の女性を永遠にコントロールできる」立場になるだろうと書いた。
カーライルのイサカへの出資の責任者は、同社のメディア・小売・消費者チームを率いるジェイ・サモンズだ。ビッグ・マシーン買収に際し、カーライルはイサカに追加出資を行った(関係者によれば、カーライルは現在、イサカの株式の約3分の1を保有している)。