米津玄師、2019年チャートを連覇した神がかり 「Lemon」大ヒットに、「パプリカ」もレコ大受賞

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どちらも2019年発売のアルバムが週間チャートで1位を獲得し、年間100位圏内にもランクインしている。「ずっと真夜中でいいのに。は最近の曲がチャート100位付近に登場するようになってきた。ヨルシカもストリーミングを中心に広く聴かれており、今後さらにブレイクする可能性がある」(礒﨑氏)。すでに若い世代を中心に支持を得ているアーティストだが、2020年は年間ベースで上位争いに加わるだろうか。

上位進出のカギとなるのはデジタル市場の攻略だ。これは決して容易ではない。発売週に多くを販売するCD販売とは対照的に、デジタルではユーザーに長く聴き続けてもらうための努力が必要になる。

ストリーミングでも新曲が順位を上げていくのには多少時間がかかる。実際、2019年屈指のヒット曲である『Pretender』(Official髭男dism)も、発売からトップ獲得まで6週間を要した。広く楽曲を浸透させるためのマーケティングや、継続的なトピックの発信などが求められるわけだ。

ストリーミングを解禁した効果は?

一方で『Lemon』の例のように、アーティストが話題になり、新曲がヒットするたびに以前のヒット曲が聴かれる傾向もある。新曲をプッシュしても上位にランクインさせるのが難しくなっている。

2018年に続き2019年も第一線を走り続けた米津玄師。年末の紅白歌合戦にはFoorinや菅田将暉など、プロデュースしたアーティストが出場するため、さらに注目度も増しそうだ(写真:山田智和)

ストリーミングを解禁しても、思うように聴かれていない有名アーティストの例もある。ファンがCDを中心に聴いており、ストリーミングなどデジタルのサービスが浸透していないためだ。ファンをデジタルに誘導したり、新たに開拓したりする必要がある。「ストリーミングを解禁した効果が日本中に広がるには時間がかかる。2019年に踏み切ったアーティストも、その動向を見極められるのは2020年になるのではないか」(ビルボード事業部の高嶋直子氏)。

CD販売とデジタル、新譜と旧譜のバランスもとりながら、どんな戦略でファンを広げ、売り上げを最大化するか。音楽業界を巡る環境が劇変する中、2020年もチャートの頂点を目指し、熱い戦いが繰り広げられそうだ。

田邉 佳介 東洋経済 記者

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たなべ けいすけ / Keisuke Tanabe

2007年入社。流通業界や株式投資雑誌の編集部、モバイル、ネット、メディア、観光・ホテル、食品担当を経て、現在は物流や音楽業界を取材。

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