再エネ事業者が猛反発、「新料金制度」の是非 経産省提案で「負担増6000億円」の試算も

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発電側基本料金の導入そのものを懸念する声もある。再エネ電力のユーザー企業や再エネ電力を扱う電力会社などが加盟する「日本気候リーダーズ・パートナーシップ」(JCLP)では、「再エネ電力の導入が今後進みにくくなり、結果としてユーザーによる再エネの選択を阻害する懸念がある」として、検討内容の見直しを求めている。

JCLPの加盟企業で、11月6日付の経産相宛て意見書作成に関与した、みんな電力の三宅成也専務取締役によれば、「経産省が示した案に基づいて計算してみたところ、石炭火力などと比べて、太陽光などの再エネ発電事業者が被るマイナス影響が極めて大きくなることがわかった」という。

再エネ推進と矛盾するとの批判も

発電設備の最大出力が同じ1万キロワットであれば、太陽光も石炭火力発電も原則として同額の基本料金を負担する。その一方で、太陽光発電の設備利用率は約13%であるのに対し、石炭火力は73%程度(いずれも2018年推定実績値、電力広域的運営推進機関調べ)。

発電電力量(いわゆる「キロワット時」)当たりに置き換えた場合、稼働率の低い太陽光発電が被る1キロワット時当たりの負担額は石炭火力の5倍以上になるという。

発電事業者の収支には、発電量(キロワット時)が大きく影響するため、「『設備容量』(キロワット)を基準にした課金の仕組みでは、天候に左右され、設備利用率が相対的に低くならざるをえない再エネ、とくに太陽光発電に不利に働く。再エネ電源の競争力をそぎ、再エネの大量導入を進めようとしている国の政策とも矛盾する」とも三宅氏は指摘する。

こうした指摘に対し、経産省では「送配電関連設備は、基本的に電源の最大の受電電力を踏まえて整備されることから、設備容量に基づいて、キロワット単位の基本料金として課金することに合理性がある。効率的な送配電ネットワークの整備は、再エネ発電事業者にもメリットを及ぼす」(日置純子・電力・ガス取引監視等委員会ネットワーク事業制度企画室長)と理解を求める。

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