再エネ事業者が猛反発、「新料金制度」の是非 経産省提案で「負担増6000億円」の試算も

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現在、太陽光や風力発電などの再エネ発電設備のほとんどは、「キロワット時」(発電電力量)単位であらかじめ決められた料金(固定価格)で買い取るFIT制度に基づいて建設されている。

今後、発電側基本料金が課されると、FIT価格の見直しが予定されていない中では、その分だけ利益が減少することになりかねない。そうした事態を回避するため、費用補てん措置(調整措置)の導入が検討されている。

「調整措置なし」に走る激震

ところが、2019年7月に示された経産省案には、再エネ事業者にとって想定外の内容が盛り込まれた。FIT制度がスタートした2012年7月から2015年6月末までの3年間にFIT認定された案件(2012年7月当初の買取価格は1キロワット時当たり40円。その後、認定時期により36円、32円、29円へと順次引き下げ)は、「利潤配慮期間」の対象施設として、買取価格が高めに設定されていたことを考慮し、「調整措置なしでよい」とされたのである。調整措置が適用されるものと想定していた再エネ発電事業者に激震が走った。

「経産省が示した案に基づいて試算したところ、今後の10年間で再エネ発電事業者の負担増が6000億円にも達することがわかった。未稼働の案件を含めると負担増は1兆円にのぼる。このように後になってから突然のように制度が変更されると、太陽光発電に限らず今後の再エネ投資全体にブレーキがかかってしまう」(細川展久 オリックス業務執行役員環境エネルギー本部副本部長)。

太陽光パネルメーカーのカナディアン・ソーラーグループで上場インフラ投資法人の資産運用会社であるカナディアン・ソーラー・アセットマネジメントの中村哲也社長も「利潤配慮期間」のFIT電源について、調整措置が設けられていない現在の案では、当社を含む太陽光発電設備などに投資する上場インフラ投資法人の5万人を超える個人投資家や年金基金、海外投資家も不利益を被る」と指摘する。

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