著名民間美術館が相次ぎ刷新--歴史を語り継ぐ“美の殿堂”の魅力



 9月1日、音楽と美術の二つの柱を軸に、芸術分野でさらなる社会貢献を推し進めるため、「公益財団法人・サントリー芸術財団」(代表理事・堤剛、鳥井信吾)を設立した。もともと創設者佐治敬三氏は「芸術に境界なし」の自由闊達な考え方の持ち主で、以前から、組織一本化の構想はあったが、創業110年を機に踏み切った。
 
 これには両分野の相乗効果を図り、より大胆な芸術活動を提供し得るとの狙いもある。私は、かつてディアギレフ、ストラヴィンスキー、ピカソ、コクトオらが協力して完成させた「バレエ・リュス」運動の見事な成果を思い出す。いずれ、サントリーホールなどで音楽と美術を一体化した企画が実現するかも知れない。

サントリー美術館(設計・隈研吾)の収蔵品は、絵画、陶磁、漆工、染織など、日本の古美術を中心に約3000件(うち国宝1件、重要文化財12件)。現在は「美(うるわ)しの和紙 - 天平の昔から未来へ」展を開催中(11月3日まで)。写経の名品から和紙の着物、装飾品、生活用具まで楽しい作品が並ぶ。11月18日から2010年1月11日までは「清方ノスタルジア - 名品でたどる鏑木清方の美の世界」展が開かれる。新収品「春雪」をはじめ、初公開作品も並ぶ。

相次いでリニューアルした山種、根津の両美術館

10月1日、東京・渋谷区広尾の文教地区にお目見得したのは、新・山種美術館。創設者山崎種二氏といえば、株の世界では伝説的な人物である。 “相場の神様” ともてはやされ、城山三郎の小説「百戦百勝」のモデルとなった。日本画蒐集が趣味だったが、「美術を通じて、社会、特に文化のために貢献したい」と、1966年、日本橋兜町に「日本初の日本画専門の美術館」を開いた。

2代目山崎富治館長(現名誉館長)は、1976年、散逸の危機にあった旧安宅コレクションの速水御舟105点を約17億円で一括購入。その大英断は、当時、かなりの話題をまいた。

美術館移転に伴い、3代目館長として山崎妙子氏が就任。氏は日本画の研究で知られる気鋭の学者でもある。祖父のコレクションを継ぎ、守るにふさわしい存在といえよう。就任と同時に、日本画の保存、育成、系統的蒐集に、より力を注ぐ方針を打ち出した。

開館記念展は、もちろん「速水御舟 - 日本画への挑戦」。重要文化財の「炎舞(えんぶ)」(写真下)、「名樹散椿(めいじゅちりつばき)」のほか、最晩年の未完の大作「婦女群像」が初公開される。

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カーリング人気萌芽の時代から、平昌五輪での銅メダル獲得まで戦い抜いてきた著者。リーダーとして代表チームを率いつつ、人生の一部としてカーリングを楽しめるにまで至った軌跡や、ママさんカーラーとして子育てで得た学びなどを語る。