著名民間美術館が相次ぎ刷新--歴史を語り継ぐ“美の殿堂”の魅力

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 夭折(ようせつ)した天才の挑戦する姿が、今なお観る者を感動させる。絵画約120点のほか、スケッチ、日記等の資料も公開(11月29日まで)。12月5日から2010年1月31日までは「東山魁夷と昭和の日本画」展。魁夷の代表作に加え、同時代を生きた橋本明治、安田靫彦、上村松篁らの往年の名作も登場する。

 続いて、10月7日、「新創記念展」で再スタートしたのは東京・港区南青山の根津美術館。初代嘉一郎氏(1860~1940)は根津コンツェルンの総帥、東武グループの創始者として知られるが、東洋古美術に造詣が深く、没後、その遺志により根津美術館が設立された。運営は2代目嘉一郎氏(1913~2002)に引き継がれ、現在は孫の公一氏が館長を務めている。
 
 国宝7件、重要文化財87件、重要美術品96件を含む計7000件の幅広いコレクションを誇る。しかし、70年の間に、建物の老朽化もあり、コレクションの安全のための収蔵庫の免震対策が急務となった。併せて点検、再整理の作業。かくて3年半にわたる工事を終え、満を持しての再登場となった。

2万平方メートルを超す広大な敷地内の日本庭園、由緒ある茶室等はそのまま生かし、本館部分を隈研吾設計で一新したが、全体は「和」のデザインで統一されている。展示スペースは従来の2倍に増え、六つの展示室にはテーマ別に収蔵品が並ぶ。
 
 オープン展は第1部「国宝那智瀧図と自然の造形」(11月8日まで)。第2部は11月18日~12月23日にかけて「根津青山の茶の湯 - 初代根津嘉一郎の人と茶と道具」と題し、重要文化財の「青井戸茶碗」など名品が紹介される。

民間美術館が生きる知恵

さて、ここで、三つの民間美術館のこれからの在りように触れてみたい。リニューアルや組織替えの時期が重なったのは偶然だが、共通する危機感がない訳ではない。

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