著名民間美術館が相次ぎ刷新--歴史を語り継ぐ“美の殿堂”の魅力


 いずれも優れたFOUNDER(創設者)によって発足したが、これからの美術館は、従来型の立派な建物があって、コレクションがあり、それらをただ並べて誇示する時代ではない。言葉を選ばずにいえば、きめ細かい「客寄せ対策」も大事なのである。

加えて、このところ、とみに攻勢を強めている国立系美術館の強力企画展の連打。「阿修羅展」「皇室の名宝展」「ゴーギャン展」etc......。特に独立行政法人・東京国立博物館の発信力は強く、観客動員でも群を抜いている。民間の美術館が、作品点数やスペースなど物量で官製の大型美術館に対抗する訳にはいかない。官製美術館が脱・お役所仕事で企画力を付けている今、民間美術館は、これまで以上に智恵の出し方、工夫が求められているのだ。
 
 幸い、三つの民間美術館は、それぞれ個性的なコレクションを持ち、「よそにはない特色」を打ち出す力がある。サントリー美術館は「生活の中の美」、根津美術館は「東洋古美術と茶の道具」、山種美術館は「日本画の系統的な蒐集」 --それらに加え、魅力的な企画、いわば、巧みな変化球を折り交ぜ、多くの美術愛好家を楽しませることができるはずである。
 
 ひと足早くリニューアルし、開館したサントリー美術館は、「国宝三井寺展」、「天地人・直江兼続とその時代」などの展覧会が大ヒット。東京ミッドタウンの中で、すでに確たるポジションを固めている。

10月開館の根津美術館、山種美術館も、好調の出足である。それぞれ友の会組織を固め、大事なリピーターが出始めている。館内にはミュージアム・ショップ、憩いのカフェ等も設けられている。美術館の隠れた、かつ大きな収入源は図録の販売だが、ヒットした展覧会ではちょっとしたベストセラー並みの売り上げを記録している。美術館商法も多様化しており、安定運営のためには、快適な空間保持、細やかなサービス、学芸員スタッフの充実も忘れてはなるまい。

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