「性別に縛られない子供たち」の斬新な価値観 ジェンダーレスに対する意外な考え方
2019年もあと1週間。アメリカでは恒例の『メリアム・ウェブスター辞典』が選ぶ、今年を代表する言葉大賞「2019年Word of the Year」が「they」と発表され、日本でもかなり話題になった。
「they」はそのまま訳すと「彼ら」という複数を表す言葉だが、性の多様性配慮により、「he(彼)」、「she(彼女)」のように、性差を特定しない言葉として使われている。大賞に選ばれた理由は、いわゆるZ世代(1990年代後半から2000年代生まれ)を中心とした「若者の支持を得たため」とされている。
「多様性への配慮」気にするのは上の世代
が、正直この言葉がZ世代の支持を得ているという点に疑問を感じた。というのも、筆者が理事を務める地元の子供劇団には11歳から18歳までのZ世代が100人ほどいるが、彼らが上記の文脈で「they」と言っているのを聞いたことがないのだ。
舞台芸術は伝統的に、性的マイノリティーが進出しやすい分野で、劇団の中にも、ゲイ、レズビアン、トランスセクシャルは所属している。彼らを指導しにくるプロフェッショナルに至っては、ほとんどが性的マイノリティーだ。しかし、そんな環境にあっても、彼らは「they」とは言わない。
そんな中、先日、劇団の年末パーティーがあり、子供と大人を含めて300人近くが集まった。ちょうどよい機会だと思い、気になっていた「they」のことについて、ティーンのリーダー格の子供たちに質問をすると、意外な答えが返ってきた。
曰く「マイノリティーとか多様性配慮とか、騒いでいるのは年上世代。僕らにとってそれは当たり前で、時々大人がする配慮の意味がわからない。theyは知っているよ。でも、友達だったらそもそもそんな気遣いする必要ないじゃない?」。この時、私はハッとした。もしかしたら、「they」を後押ししたのは、この子たち世代ではないのかもしれない。
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