「性別に縛られない子供たち」の斬新な価値観

ジェンダーレスに対する意外な考え方

生まれながらに「そこにある何か」というものは、こんなにもストンと彼らの中に存在できるものなのかと、正直驚いた。ハリウッドのセレブリティーが登場したり、メディアが何かあるたびに大々的に取り上げるため、社会全体がマイノリティーに対しては必要以上に大騒ぎする傾向がある中、ティーンたちの淡々とした物言いには、本当に面食らってしまった。

彼らにとって、多様性はすでに「特別なもの」ではないのだろう。だから声高く何かを叫ばなくても、ちゃんと時代の「常識」として、それをわきまえている――劇団で話したティーンたちの反応は、むしろとても成熟していると思えたし、真の多様性については、彼らのほうが上手かもしれないとすら感じた。

大事なのは「自分らしさ」

それを裏付ける背景の1つに人種構成も挙げられる。ピュー研究所の調べでは、Z世代は歴史上最も多様な人種背景を持つとされており、実に48%が非ヒスパニック系白人以外の人種で構成されてことがわかっている。つまり、そもそも彼らの世代自体が、多様そのものなのだ。異なる何かに偏見など持っていたら、やっていけるはずがない。

ジェンダーについても、多様な背景を持つ人たちがそれを隠さずに生きやすい世の中が、すでに出来つつある時代に彼らは思春期を過ごしている。彼らがティーンになった頃には、インフルエンサーやブランドが、性差や美に対する価値観の幅を広げる努力を行っている状況だった。

例えばファッション1つとっても、『Agender』や『One DNA』、『69』など、小さいけれども絶大な支持を得ているユニセックス・ブランドが、アメリカでは注目されている。それまであった「男らしさ」や「女らしさ」への追求や、有名ブランドであることよりも、彼らにとって大事なことは、自分らしさだ。

ユニセックス・ブランドの台頭は、特定の性ではくくれない「ノンバイナリー・ジェンダー」の価値観も、「新しいファッションのスタイル」の1つとして受け入れられている、ということを物語っている。

よく「男性が女性化したファッションを好むようになった」というようなことを言う人がいるが、そうではなく、単に「選択肢の1つが増えた」と言ったほうが、彼らの感覚で言うと正しい気がする。

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