「性別に縛られない子供たち」の斬新な価値観 ジェンダーレスに対する意外な考え方

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大人の私たちが忘れてはいけないこと、それは私たちが「過去を引きずっている」ということだ。多様性にしても、性的マイノリティーの権利にしても、ミレニアル世代とそれ以前の世代にとっては、それらが社会で受け入れられることを、「勝ち取る」運動を続けてきた経緯がある。

しかし、それは今、「すでに過去のもの」になろうとしているのかもしれない。過去を引きずる世代にとっては、それらは今でも「自分事」だ。それゆえに必要以上に大騒ぎしたり、多様な価値観を重んじると口では言いながら、自分の見解に理解が得られないと攻撃したりしてしまう。

多様性はすでに「必然」

若い世代には、そうした”熱”がない。もっと言うなら、そうした大人たちに、少しうんざりしているようにも感じられた。「言われなくたって、当然のこと。なぜそんなに騒ぐのか?」と。

もちろん先人たちの働きかけがあったからこそ、差別や偏見に対する理解が浸透したことは間違いない。しかし、若い世代は私たちが思っているよりも、ずっと冷静に自分たちの価値観を持ち合わせているのではないだろうかと思う。

大人たちが「they」を強要しなくても、あるいは#MeTooと叫びながら女性の権利を主張しなくても、多様性時代の申し子であるZ世代が、それらを世の中の「必然」という理解に塗り直してくれるのではないか、そんな予感も少しする。

アメリカの国勢調査局によると、Z世代がアメリカ全体の労働力の30%を占めるようになるまでに、あと10年しかかからない。彼らが牽引する世の中はどんな時代になるのだろうか? 

ジュンコ・グッドイヤー Agentic LLC代表、Generativity Lab代表

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Junko Goodyear

アメリカ在住。青山学院大学卒業。日本にて約20年の企業経営のち、現職。日本企業のアメリカ進出、アメリカ企業の日本進出のコンサルテーション&サポートほかを行っている。シアトル近郊最大の子供劇団のひとつ『Kitsap Children’s Musical Theatre』顧問を務めながら、次世代継承と・社会還元共有型マーケティングを考える『ジェネラティビティ・ラボ』も主宰している。

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