「性別に縛られない子供たち」の斬新な価値観

ジェンダーレスに対する意外な考え方

Z世代はほとんどが学生なので、社会人としてのデータはまだ少ないものの、彼らの生活動向についてのデータを見る限り、1つ前のミレニアル世代とは、かなりの共通点も見られる。多様性を重んじることや、デジタル世代であること、環境配慮に意識が高い点などが挙げられる。

一方、決定的な違いもある。それは、上記の共通点の多くがミレニアル世代にとっては「成長とともに手にしてきたこと」であるのに対し、Z世代にとっては「最初から手にしていたもの」である点だ。この違いはかなり大きい。

同性愛の17歳が高校を中退した理由

劇団で話を聞いたティーンの1人、ロバート(仮名)は、17歳。同性愛を公表しており、高校はそのことが原因で中退している。今は自宅で単位を取得するタイプのホームスクール・システムを使って高校卒業資格取得を目指しながら、シアトル市内のレストランでアルバイト中だ。彼に「高校を中退してしまった理由は聞いているのだけれど、やはり同性愛だと理解されなくて、つらい目にあった?」と聞くと、すぐさまこう答えてくれた。

「友達とは何の問題もなかったんだ。でも僕を特別扱いしようとする学校に、とても嫌気がさしたんだよね。僕みたいな生徒が気にするからって、トイレの話が頻繁に出るようになり、そのたびに僕の名前が出る。僕はトイレなんて気にしていないって言っているのに、当事者になってしまう。なんだか特殊な人間みたいな扱いをされている気分になって、肩身が狭くなったんだよ」

アメリカの沿岸都市部、リベラル派が90%以上という地域は特殊だ。アメリカのメディアは、ほとんどそうした土地にあるために、どうしてもその中の常識が、海外にも「アメリカの常識」として伝わってしまう。しかし、実際に住んでみたアメリカは、リベラル派がメインで構成されている地域のほうが実は少ない。

「they」にしても同様だ。劇団があるのは、リベラルを代表する都市の1つ、シアトルからたった1時間しか離れていない地域である。しかし、そこでは「Z世代の積極的な後押し」はほとんど感じないし、若者たちがそうした主張に熱心になっている様子も見られない。メディアが言うような積極的支持があったとは、なかなか思えないのだ。

だからと言って、彼らが性的マイノリティーに対して無関心というわけではない。むしろ逆だ。彼らと話していると、マイノリティーについてはちゃんと「受け入れている」感がある。まるで、モバイルやデジタルが彼らにとって当然であるように。

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