距離は短いが役立つ、関西私鉄「ミニ路線」10選 沿線の生活の足として活躍中の支線が多い

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9)近鉄信貴線

大阪上本町駅から近鉄大阪線の区間準急に乗って15分の河内山本駅より分岐しているのが近鉄信貴線である。信貴山朝護孫子寺への参詣ルートとして終点信貴山口まで2.8km、5分のミニ路線で信貴山口駅からは西信貴鋼索線というケーブルカーに乗り換えて高安山駅に向かう。

半世紀ほど前に東大阪市に住んでいた親戚と上本町駅発の直通電車で信貴山に遊びに行ったことがある。子供でも楽しめるレジャー施設があったことをうっすらと記憶しているのだが、今はどうなっているのだろうか?

信貴線には2両編成の電車しか入線できないので、1967年末以来、長編成化された大阪線への乗り入れは廃止された。もっとも、イベント運転として2010年と2018年に直通準急の復活運転が行われた。

大阪市中心部にある

10)京阪中之島線

2008年に開業した大阪中心部の中之島の地下を東西に走る新線。京阪本線と一体化した運行をしていて、線内のみの折り返し列車はない。

京阪中之島駅。将来大化けするかも?(筆者撮影)

本線に直通する優等列車も運行されているが、利用者数は少なく、日中や土休日はほどんど普通列車が走る。起終点となる中之島駅は、地下鉄をはじめ他の鉄道路線との接続がなく、あたかも盲腸線のような雰囲気があるので、ここで取り上げてみた次第である。

何とも中途半端な都会のミニ路線ではあるけれど、構想としては西九条を経由して人工島の夢洲までの延伸計画がある。夢洲は2025年の大阪万博の会場となるうえ、カジノを含む統合型リゾート(IR)の候補地だ。

すべてが実現すれば、中之島線はミニ路線から脱し、大阪市内を東西に走る幹線のひとつに大化けするかもしれない。なにわ筋線に乗換駅を設ける計画もある。今後に期待したい路線なのである。

関西圏のミニ路線は意外に多く、今回は取り上げなかった近鉄のミニ支線、能勢電鉄、神戸電鉄にも興味深い路線がある。機会を改めてリポートしたいものだ。

野田 隆 日本旅行作家協会理事

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のだ たかし / Takashi Noda

1952年名古屋市生まれ。早稲田大学大学院修了(国際法)。都立高校に勤務のかたわら、ヨーロッパや日本の鉄道旅行を中心とした著作を発表、2010年に退職後は、フリーとして活動。日本旅行作家協会理事。おもな著書に『にっぽん鉄道100景』『テツはこんな旅をしている』『シニア鉄道旅のすすめ』(以上、平凡社新書)、『テツ道のすゝめ』(中日新聞社)、『ニッポンの「ざんねん」な鉄道』(光文社知恵の森文庫)、『テツに学ぶ楽しい鉄道旅入門』(ポプラ新書)などがある。

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