距離は短いが役立つ、関西私鉄「ミニ路線」10選 沿線の生活の足として活躍中の支線が多い

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5)阪神武庫川線

かつて阪神にはいくつかのミニ路線(路面電車)が存在したのだが、ほとんど廃止された。盲腸線だった伝法線も西大阪線と改名後、大阪難波駅で近鉄とつながる阪神なんば線となり、重要な幹線級の路線に昇進した。したがって、現在、阪神電車のミニ路線は武庫川線のみである。

阪神本線の武庫川駅は、この付近で尼崎市と西宮市の境界を流れる武庫川を渡る鉄橋上にホームがある風変わりな駅だ。その本線ホームの西宮市側から階段を降りたところに直交する形で武庫川線のホームがある。武庫川線の3つの駅(東鳴尾、洲先、武庫川団地前)は無人駅であり、乗車券を購入して乗ってきた場合は、運賃不足や不正乗車の防止も兼ね、中間改札機を設けてチェックしている。

電車は2両編成のワンマン運転で、1.7kmを5分で走破する。ラッシュ時を除くと1時間に3往復だが、平日の13時台は2往復運転するのみで、本数は多くない。武庫川の堤防脇を進むけれど、のり面の下を走るので車窓から川は見えない。

南海もミニ路線の宝庫

6)南海高野線の汐見橋―岸里玉出間

南海高野線の一部区間ではあるけれど、大阪市内のターミナルは難波駅なので、高野線の電車は汐見橋―岸里玉出(きしのさとたまで)を経由せず、それどころか岸里玉出駅付近の立体交差事業完成後は線路が分断されて直通運転は不可能となってしまった。

南海高野線の汐見橋駅。大阪市中心部にある駅とは思えない静けさだ(筆者撮影)

現在、「汐見橋線」は、区間内折り返し列車のみが走る。しかも、始発から20時までは30分ごとの運転であり、大阪市中心部とは思えない閑散ぶりだ。複線の施設を持て余し、2両編成でも車内はすいていることが多い。

ところで、大阪市内を南北に結ぶ「なにわ筋線」の計画があり、「汐見橋線」は、そのルートの一部となる可能性があったため、閑散区間であっても将来性を見越して温存されてきた。しかし、2017年に公表された計画では新今宮駅経由となったため、汐見橋線自体の存続が危惧される状況となってしまった。

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